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News letter No.029

4月12日に発表された『国家税務総局が営業税に代えて徴収する増値税は地方税務局に代理徴収を委託することと増値税発票の代理発行』(税総函[2016]145号)に次のような規定が見られます。

「増値税小規模納税人は、取得した不動産を販売する及び貸し出す、且つ購入側及び賃貸人が個人ではない場合、増値税を支払った後地方税務局に増値税専用発票を代理発行してもらうことが可能です。」

但し、当該仕入増値税の控除に以下のような留意点があります。

①従業員(高級管理人員込み)のために賃貸した場合、賃貸料は仕入増値税が売上増値税と相殺することができません。

②賃貸した建物に混用のある場合、例を挙げ、リビングをオフィス用にし、ベッドルームを宿泊用にしたりとか、仕入増値税が売上増値税と相殺することができます。

③増値税全面改革前に一括で支払った年間賃貸料について、改革後増値税専用発票の代理発行は出来せん。賃貸料に係る仕入増値税は勿論売上増値税と相殺することができません。

④他社人員のため部屋を賃貸した場合、各地域の規定が違うが、現地の税務機関に賃貸料を接待費と見做された場合、仕入増値税が売上増値税と相殺することができません。

⑤個人大家が住居または非住居を賃貸するにあたる仕入増値税の相違点

・個人大家が住居を賃貸する場合

賃貸料に係る仕入増値税=税込賃貸料÷(1+5%)×1.5%

・個人大家が非住居を賃貸する場合

賃貸料に係る仕入増値税=税込賃貸料÷(1+5%)×5%

news letter028

5月1日から営業税から増値税への移行
に伴う仕入税額控除に関する留意点まとめ


一、36号通達に規定された控除出来ない仕入税額について

購入した旅客運送サービス、貸付サービス、飲食サービス、住民日常サービス及び娯楽サービスに係る仕入税額は売上税額から控除することができません。

1.旅客運送サービス

旅客運送サービスは「交通運送サービス」に所属し、鉄道運送、陸路運送、水路運送及び航空運送に係らず、旅客さえを運送すれば、それに係る仕入税額は売上税額から控除することができません。

よって、日常で一般納税人が受けたタクシー、バス、長距離バス、フェリー、客船、飛行機、汽車及び定期便サービスに係る仕入税額は売上税額から控除することができません。

2.貸付サービス

貸付サービスとは資金を他人に貸し付けて利息をとることです。

よって、一般納税人は銀行等の金融機構からの貸付金が発生した利息に係る仕入税額は売上税額から控除することができません。

銀行に取られたほかの料金、送金手数料、口座管理費等の費用に係る仕入税額は、控除することができます。先方に増値税専用発票を発行してもらことも勿論できます。実務では、それらの増値税専用発票の発行は一括で纏め月一回かもしれません。具体的なことは銀行へお問い合わせください。

リースバックは貸付サービスに含まれていますから、掛かる仕入税額は控除することができません。但し、2016年4月30日以前に締結された有形動産のリースバック契約書について、旧政策通り利息に係る仕入税額を控除することができます。それ以降締結の契約書は、利息に係る仕入税額が売上税額から控除することができません。

3.飲食サービス

飲食サービスについて、用途を問わず、仕入税額は売上税額から控除することができません。但し、飲食代を宿泊費または会議費といった名目で発票を発行してもらった場合、仕入税額が控除することができるかどうかについて、現時点の政策ではまだ明確されていません。

4.住民日常サービス

住民日常サービスは主に住民個人及び家庭の日常生活の要求を満足することを指しています。

物件管理費は住民日常サービスに含まれていません。増値税専用発票を発行してもらえば仕入税額は控除することができます。




二、出張経費に係る仕入税額について、

出張経費の交通費は、上記の旅客運送サービスに含まれ、仕入税額は控除できません。

出張経費の飲食代について、仕入税額は控除できません。

出張経費の宿泊費に係る仕入税額は売上税額から控除できます。

仕入税額を控除するために、正しく増値税専用発票を発行してもらわなければなりませんので。出張人員に増値税専用発票発行用の資料を準備しておくのをお勧め致します。



三、宿泊費に係る仕入税額について

現在、インターネットで出張経費は勿論で、全ての宿泊費は仕入税額が控除できる話題は討論されています。この言い方は正しくはないかと思います。

団体福利または個人消費用の宿泊費に係る仕入税額は控除できません。例えば、お客さん招待ための宿泊費、または従業員の寮に用いられる宿泊費に係る仕入税額は控除できません。



四、駐車料、高速通行料等に係る仕入税額について

36号通達により、自動車駐車サービス、道路通行サービス(通行料、橋わたり、水門通り料等を含み)等は不動産経営リースサービスに照らして課税され、係る仕入税額は売上税額から控除できます。


高速通行料に係る仕入税額は控除できますが。増値税専用発票の取得方式を留意してください。ETCカードを通し纏めて発票を発行するかもしれません。事前に高速通行料を取る会社と確認するのをお勧め致します。定期的に支払う駐車料についても関連会社と確認する必要があるかと思います。



五、増値税専用発票の取得について

現時点の政策で、いくつかの増値税専用発票を発行出来ない行為が規定されています。例を挙げると、中古固定資産を販売場合、減税を放棄しない限り増値税専用発票を発行できないとか、中古品の販売は増値税専用発票の発行は出来ないとか、個人が税務局に増値税専用発票の代理発行は出来ないとか等です。

仕入税額を控除する第一歩は増値税専用発票を正しく入手することで、増値税専用発票が発行できる且つ仕入税額を控除できる行為について、先方は一般納税人が勿論で、小規模納税人でも増値税専用発票を正しくご入手するのをお勧めいたします。


以上は企業が日常の業務に係る仕入税額の控除を説明したが、固定資産、無形資産または不動産の仕入税額の控除、不動産の非正常損失と建築業の仕入税額の控除等についても新規が公布されています。さらに詳細情報の入手をご希望される場合ご連絡ください。



News letter No.027

本ニュースレターに記載の情報はあくまでも一般的参考に供するものであり、読者の皆様に対し、いかなるアドバイスをも提供 するものでもありません。なお、記載の内容について、何か問題がございましたら、誠にお手数とは存じますが、当社までご連絡いただければ誠に幸いに存じま す。

小型薄利企業の企業所得税優遇政策についての、財政部・国家税務総局の通知(财税〔2015〕34号)

さらに小型薄利企業の発展をサポートするため、国務院の認可を経て、3月13日に財政部と国家税務総局は、標題の通知を発表しました。その内容は以下の通りです。
1 2015年1月1日から2017年12月31日まで、年間の課税所得額が20万元以下の小型薄利企業は、その所得の50パーセントを課税所得額として計算し、20パーセントの税率で企業所得税を課す。
前項にいう小型薄利企業とは、「中華人民共和国企業所得税法」(以下、「企業所得税法」という)及びその実施条例が規定する小型薄利企業をいう。
2 企業所得税法実施条例第92条第(1)項及び第(2)項にいう従業員数には、企業と労働関係を成立させている従業員数及び企業が受け入れている労働派遣人員数が含まれる。
従業員数と総資産額の指標は、企業の年間の四半期の平均値により確定する。具体的な計算式は以下となる。
四半期平均値=(四半期初の値+四半期末の値)÷2
年間四半期平均値=年間の各四半期の平均値の和÷4
年度の途中に開業したか、又は経営を終了した場合、その実際の経営期間を一つの納税年度として、上述の指標を確定する。

上述の計算方法は2015年1月1日から実施し、「企業所得税優遇政策の若干問題についての、財政部・国家税務総局の通知」(財税[2009]69号)第7条は同時に実施を停止する。
3 各レベルの財政・税務部門は密接に協力し、厳格に本通知の規定に照らして、小型薄利企業の所得税優遇政策の業務を確実に行なわなければならない。同時に、優遇政策の実施状況を適時追跡・理解して、発見した新たな問題に対しては速やかにこれを報告して、優遇政策が所定の成果をあげられるようにする。

外国籍個人の個人所得税に係る時間についての規定

外国籍個人の所得税を計算するにあたっては、期間が非常に重要な要素となります。これには居住期間、就業期間、183日、1年、5年等の納税義務判定のための重要なくぎりがあります。これにつき、以下に紹介いたします。

1 183日の計算について

「中華人民共和国個人所得税法実施条例」(以下、「実施条例」という)第7条には、「中国国内に住所を有しないが、ただし1納税年度中に中国国内に連続して、又は累計で居住する期間が90日を超えない個人の、その源泉を中国国内とする所得は、国外の雇用主が支払い、かつ当該雇用主の中国国内の施設・場所が負担するものでない部分については、個人所得税を免除する」と規定されています。
「中国国内に住所を有しない個人が取得する賃金給与所得の納税義務問題についての、国家税務総局の通知」(国税発[1994]148号、以下、「148号文書」という)第2条には、「中国国内に住所を有さず、1納税年度の中国国内における滞在が連続して、又は累計で90日を超えないか、若しくは租税協定が規定する期間の中国滞在が183日を超えない個人は、中国国外の雇用主が支払い、かつ当該雇用主の中国における施設が負担するものではない賃金給与については、個人所得税の申告を免除する」と規定されています。

この183日の数え方ですが、上記の規定にある「1納税年度において」とはいつからいつまででしょうか。実施条例第46条には、「税法及び本条例にいう納税年度とは、西暦の1月1日から12月31日までをいう」と規定されています。
ところで、この183日は西暦の1月1日から12月31日までの期間であるというのは確定的なことでしょうか?これはそうとは限りません。租税協定等では別の規定もあります。
「中国国内に住所を有しない個人の納付する所得税が関わる租税協定の若干問題についての国家税務総局の通知(国税発[1995]155号)第1号には、以下の規定がみられます。
「納税者の租税協定の規定する期間中における中国国内に連続又は累計での滞在が183日を超える場合、居住時間の確定は、入出国証明により、各租税協定の具体的規定に基づき計算する。凡そ租税協定が規定する滞在期間が暦年又は租税年度で計算される場合、同年の1月1日から12月31日までの期間で居住期間を計算する。租税協定の規定する滞在期間がいずれか12か月又は365日で計算する場合、条約締結国の相手側の居住者個人が中国に来た日から年度を跨いだいずれか12か月又は365日でその居住時間を計算する。」
よって、183日を計算する場合、まずその租税協定の関連の記述を確認する必要があります。例えば、日本、USA、フランス、ドイツ、マレーシア等の大部分の国は「暦年」ですが、ノルウェイ、ニュージーランド、タイ、オーストラリア、韓国等は「いずれか12か月」となっています。
例えば、日本人の個人が2013年8月に入国し、2014年5月に出国したのであれば、合計の滞在日数は183日を超えていますが、2013年と2014年をそれぞれ見れば183日を超えてはいないため、その国内で支払われた給与については国内で個人所得税を納付する義務はありません。ただし、これが韓国人であれば、「いずれか12か月」となっていますので、この個人の中国滞在は183日を超えるとされ、上記の優遇は受けることができません。

2 1年の計算について

「個人所得税法」第1条には、「中国国内に住所を有するか、又は住所を有さず国内の居住が満1年となった個人は、中国国内及び国外から得た所得につき、本法の規定に基づき個人所得税を納付する。中国国内に住所を有さず居住せず、又は住所を有さず国内の居住が1年に満たない個人は、中国国内から得た所得につき、法に基づき個人所得税を納付する」と規定されています。
「実施条例」第3条には「国内の居住が満1年とは、一つの納税年度中の中国国内の居住が365日であることをいう。臨時に出国する場合、日数を差し引かない。
前項にいう臨時に出国するとは、一つの納税年度中の1回が30日を超えないか、又は何度かの累計が90日を超えない出国をいう」と規定されています。
また、第46条には、「税法及び本条例がいう納税年度とは、西暦1月1日から12月31日までをいう」と規定されています。
ここでは、臨時的な出国が期間から差し引かれるかどうかに注意が必要です。

3 5年の計算について

「実施条例」第6条では、「中国国内に住所を有さず、ただし居住が5年を超える個人については、6年目からは、その源泉が中国国外にある所得についても、すべて個人所得税を納付しなければならない」とされています。
その具体的な計算方法は、「中国で住所を有しない個人がどのように中国での居住の満5年を計算するかの問題についての、財政部・国家税務総局の通知」(財税字〔1995〕98号、以下、「98号文書」という )第1条に、「個人が中国国内においての居住が満5年となるとは、中国国内において連続しての居住が満5年となることをいい、即ち連続した5年の各納税年度がすべて満1年であることをいう」とされています。

満5年以後の納税義務は、98号文書の第2条に「個人が中国国内に居住して満5年の後、第6年目からの各年度中の国内の居住が満1年のものはすべて、その源泉を国内・国外とする所得すべてにつき納税申告を行わなければならない。国内の居住が1年に満たないものについては、国内を源泉とする所得について申告納税を行う。当該個人が6年目以降のある納税年度に国内での居住が90日に満たない場合、実施条例第7条の規定に基づき納税義務を確定することができ、再び居住が満1年となったときからあらためて5年の期限が計算される」と規定されています。
当該条項の規定からわかるように、満5年の納税義務の判定は、居住して満5年後の各年度から計算され、満1年のものはすべての所得につき納税、1年に満たないものは国内を源泉とする所得についてのみ納税となります。90日に満たないものは、「実施条例」第7条の規定に基づき納税義務を確定するだけでなく、同時に再度満1年となった年からあらためて5年の期間を計算することになります。
ここで特にご注意いただきたいのは、外国籍個人が国内に居住して満5年後、6年目の居住が満1年であれば国内・国外を源泉とするすべての所得につき納税義務が生じるわけですが、個々での所得とは賃金給与だけでなく、その他の各種所得が含まれることです。これには、国外での経営所得、賃貸所得等が例としてあげられます。もちろん、その6年目において、1回の出国が30日を超えたり累計で90日を超えることがあれば、これは6年目は満1年であることにはなりません。

4 就業期間と居留期間の計算について

簡単にいえば、外国籍個人の国内滞在数は、「業務は半日、居留は1日」の原則で計算されます。
「中国国内に住所を有しない個人の租税協定実施と個人所得税法の若干の問題についての、国家税務総局の通知」(国税発〔2004〕97号)には、以下の規定が見られます。

「1 納税義務判定時にどのようにして中国国内の居住日数を計算するか。
中国国内に住所を有しない個人は、その中国国内の居住日数を計算して確定する必要があり、それにより税法に及び協定又は取り決めの規定に基づき、それをもって、中国でどのような納税義務を負うかを確定するときには、すべてその個人の実際の滞在日数により計算する。上述の個人の入国、出国、往復又は何度か行き来した日の当日は、すべて1日として中国滞在日数を計算する。」
2 個人の入出国当日につき、いかに中国国内の就業時間を計算するかについて
中国国内・国外の施設で同時に職務につくか、又は国外機構でのみ職務についている、国内に住所を有しない個人が、「中国国内に住所を有しない個人の個人所得税計算納付に係る若干の具体的問題についての、国家税務総局の通知」(国税函発〔1995〕125号)第1条の規定に基づき、その国内での業務時間を計算する場合、その入国、出国、往復又は何度か行き来した日の当日は、半日としてその中国滞在業務時間が計算されます。

News letter No.026

本ニュースレターに記載の情報はあくまでも一般的参考に供するものであり、読者の皆様に対し、いかなるアドバイスをも提供するものでもありません。なお、記載の内容について、何か問題がございましたら、誠にお手数とは存じますが、当社までご連絡いただければ誠に幸いに存じます。

貿易企業の委託加工輸出業務に係る4方式の比較

 
外国貿易企業の委託加工業務は、原材料調達方法の違いからみると、次の4種類のパターンに分けられるかと思われます。

  • 中国国内で原材料を仕入れて委託加工を行なう
  • 一般貿易の形式で原材料を輸入し委託加工を行なう
  • 来料加工方式で委託加工を行なう
  • 進料加工方式で委託加工を行なう

では、どの方式がキャッシュフロー的に最も有利でしょうか?以下、そのメリットとデメリットにつき検討し、また例として同じ数字を用いて結果を計算してみたいと思います。
【用いる数字の前提】
貿易企業が購入した原材料の価格が100元、これを加工メーカーに10%の利益を乗せて販売、加工メーカーの税抜加工費はすべて20元、最終輸出価格は150元(来料加工方式の加工費は50元)、双方の増値税はともに17%とし、その他の要素は考慮しません。
1 国内で原材料を仕入れて委託加工を行なう方式について
貿易企業が国内で原材料を仕入れ、委託加工を行った後輸出する場合の還付申請手続については、「輸出物品・役務に係る増値税及び消費税政策についての、財政部・国家税務総局の通知」(財税[2012]39号、以下「39号文書」という)第4条第(5)項で以下が規定されています。
「貿易企業の輸出委託加工修理交換物品に係る増値税還付(免税)の税計算依拠は、加工修理交換費用の増値税専用発票に記載された金額とする。貿易企業は加工修理交換に使用した原材料(進料加工税関保税貨物である輸入材料は除く)を、加工修理交換を受託するメーカーに販売し、加工修理交換を受託したメーカーは、原材料を原価とし加工修理交換費用を加えた発票を発行する。」

上記のように、貿易企業が国内で原材料を仕入れ、委託加工を行った後輸出する方式においては、その税還付の根拠は原材料と加工費の二つの部分により構成されています。39号文書が出される前は、このような状況においては、原材料の発票と加工費の発票とを分けて還付申請することが可能でした。ところが、39号文書では極めて明確に、その基本方式につき、貿易企業が原材料を加工メーカーに販売し、加工メーカーは原材料の価格と加工費を合わせて製品発票を発行して、貿易企業の税還付申告は、製品発票のみに基づいて行なうものであると規定しています(進料加工の税関保税原材料は除く)。
このケースで計算すると次のようになります。
国内仕入の税抜価格100元、仕入増値税17元、加工工場に販売する税抜価格110元、売上増値税=110×17%=18.7元、ここまでで貿易企業が納付すべき増値税18.7-17=1.7元。
加工工場の原材料仕入原価は110元、仕入増値税18.7元、加工費税抜金額20元(利益を含む)、加工費にかかる売上増値税3.4元、発行した製品発票の税抜金額130(110+20)元、売上増値税=130×17%=22.1元、加工工場が納付すべき増値税=22.1-18.7=3.4元。
貿易企業が加工工場から加工後の製品を購入する際に取得する発票の税抜金額は130元、仕入増値税22.1元、還付率を13%とすると還付税額は16.9元、輸出売上150元。
上記より貿易企業が得るキャッシュフローは、-117+128.7-1.7-152.1+16.9+150=24.8元となります。
2 一般貿易で原材料を輸入し委託加工を行なう方式について
上記と同様、加工工場に原材料を販売し、原材料+加工費の金額をもって加工工場から買い取り、加工工場は原材料費と加工費をあわせた金額で発票を発行する方式です。貿易企業はこの発票に基づき税の還付を申請します。1のケースとの違いは、輸入時に関税を納付する必要があるかもしれない点にあります。このケースでの計算は以下のようになります。
貿易企業が輸入する原材料の税抜価格100元、関税率10%、輸入増値税=110×17%=18.7元、加工工場に販売する税抜価格121元、売上増値税=121×17%=20.57元、ここまでで貿易企業が納付すべき増値税=20.57-18.7=1.87元。
加工工場の原材料仕入原価は121元、仕入増値税20.57元、加工費税抜金額20元(利益を含む)、加工費にかかる売上増値税3.4元、発行した製品発票の税抜金額141(121+20)元、売上増値税=141×17%=23.97元、加工工場が納付すべき増値税=23.97-20.57=3.4元。
貿易企業が加工工場から加工後の製品を購入する際に取得する発票の税抜金額は141元、仕入増値税23.97元、還付率を13%とすると還付税額は18.33元、輸出売上150元。上記より貿易企業が得るキャッシュフローは、-128.7+141.57-1.87-164.97+18.33+150=14.36元となります。

3 来料加工で委託加工を行なう方式について
「『輸出物品役務に係る増値税と消費税の管理弁法』公布についての、国家税務総局の公告」(2012年第24号、以下「24号公告」という)第9条第(4)項第2号には、以下が規定されています。
「来料加工の委託加工輸出物品の免税証明及び消込照合処理
(1)来料加工による委託加工業務に従事する輸出企業は、加工企業が発行した普通発票を入手した後、普通発票発行の日から次月の増値税納税申告期限までに、「来料加工免税証明申請表」に記入して、正式に電子データを提出して申告を行い、また以下資料を主管税務機関に提出して「来料加工免税証明」の手続を行う。
  ①輸入物品輸入申告書原本及びコピー
  ②加工企業が発行した普通発票原本及びコピー
  ③主管税務機関が提出を要求するその他の資料
輸出企業は「来料加工免税証明」を加工企業に引渡し、加工企業はこの証明をもって税務機関で加工費の増値税、消費税の免税手続を行わなければならない。」
このように、貿易企業は来料加工の原材料を加工工場に渡して(税関の許可を得た上で)加工を行い、加工工場はその加工した製品につき、貿易企業に普通発票を発行し、貿易企業は24号公告が規定する期限内に、主管税務機関に対し24号公告が要求する資料を提出して、「来料加工免税証明」の手続を行い、当該証明を加工工場に引渡します。加工工場はこれに基づき、主管税務機関で加工費の増値税・消費税の免税手続を行うことになります。このケースでは以下のようになります。
貿易企業が輸入する原材料は価値100元(但し無償)、関税0、輸入増値税0、原材料を無償で加工工場に引渡し。
加工工場の原材料原価は0、仕入増値税0、加工費税抜金額20元(利益を含む)、加工費に係る増値税は免税、発行した製品発票の税抜金額20、売上増値税0。
貿易企業が加工工場から加工後の製品を回収する際に取得する発票の税抜金額は20元、仕入増値税0、輸出加工費売上50元。上記より貿易企業が得るキャッシュフローは50-20=30元。

4 進料加工で委託加工を行なう方式について
このとき輸入した原材料は、税関の監督管理下にある保税物品であるため、貿易企業はこれを加工工場に販売することはできません。販売すればこれは一般輸入方式となり、関税と増値税を納付する必要が生じ、進料加工方式とは呼べなくなります。よって、貿易企業は原材料を無償で加工工場に引き渡し、加工工場が発行した加工費に係る増値税専用発票をもとに還付申請することになります。これについての規定には以下があります。
「輸出物品役務に係る増値税及び消費税関連問題についての、国家税務総局の公告」(2013年第65号)
第4条「輸出企業が加工貿易の材料輸入に対し、委託加工を行なって輸出する場合、税還付(免税)の申告又は『来料加工免税証明』発行の申請を行なう際に、提供する加工費の発票が加工貿易手帳(帳面)に記載された加工企業が発行するものでないとき、輸出企業は主管税務機関に対し書面でその理由を説明しなければならず、あわせて主管税関に対しても書面説明を提出しなければならない。そうでない場合、進料加工委託業務に該当するものは、対応する加工費については控除することができないか、又は還付を申請することができない。」
このように、しかるべき手続をふめば、輸出企業は進料加工の委託加工費につき、控除又は還付を申告することができます。
このケースでは以下のようになります。
貿易企業が輸入する原材料の原価は100元、関税0、輸入増値税0、原材料を無償で加工工場に引渡し。
加工工場の原材料原価は0、仕入増値税0、加工費税抜金額20元(利益を含む)、加工費に係る増値税は20×17%=3.4元、貿易企業が加工工場から加工後の製品を回収する際に取得する発票の税抜金額は20元、仕入増値税3.4元、輸出売上150元。還付率13%、税還付額2.6元。
上記より貿易企業が得るキャッシュフローは -100-23.4+2.6+150=29.2元となります。
以下は四つの方式につき、表にまとめたものです。

材料国内仕入 材料一般貿易輸入 来料加工 進料加工
1貿易企業の材料関連
貿易企業の原材料原価 100 100 0 100
貿易企業の原材料増値税 17 18.7 0 0
貿易企業の原材料関税 0 10 0 0
貿易企業の原材料販売又は引渡し 110 121 100 100
貿易企業の原材料売上増値税 18.7 20.57 0 0
貿易企業の加工までに納付する増値税 1.7 1.87 0 0
2加工工場の税
加工工場の原材料仕入原価 110 121 0 0
加工工場の原材料仕入増値税 18.7 20.57 0 0
加工工場の税抜加工費 20 20 20 20
加工工場の発票税抜金額 130 141 20 20
加工工場の売上増値税 22.1 23.97 0 3.4
加工工場の納付する増値税 3.4 3.4 0 3.4
3 貿易企業の加工工場からの回収
貿易企業の加工製品取得原価 130 141 20 20
貿易企業の加工製品仕入増値税 22.1 23.97 0 3.4
還付率 13% 13% 13%
還付額 16.9 18.33 0 2.6
還付不能原価振替 5.2 5.64 0 0.8
輸出売上 150 150 50 150
4 貿易企業の純キャッシュフロー 24.8 14.36 30 29.2

税率が異なる場合、結果も違ってきます。以下は還付率の違いによる変化の対比表です。

還付率の違いによる純キャッシュフローの違い

還付率 キャッシュフロー
原材料国内仕入による委託加工 一般貿易輸入による委託加工 来料加工による委託加工 進料加工による委託加工
還付率17% 30 20 30 30
還付率13% 24.8 14.36 30 29.2
還付率11% 22.2 11.54 30 28.8
還付率8% 18.3 7.31 30 28.2
還付率5% 14.4 3.08 30 27.6

表からみれば、貿易企業が加工貿易を行なうときにキャッシュフロー上最も有利な方式は来料加工による方式のように見受けられます。この主な理由は、還付率に係るロスが発生しないことがあげられるかと思われます。また、原材料の代金を支払う必要がないため資金繰り面でもメリットがあるかもしれません。但し、その手続や原材料管理は当然国内調達や通常貿易方式にくらべ煩雑なものとなります。キャッシュフロー上最も不利となるのは、一般貿易方式です。これは関税の発生や、加工企業に原材料を売り渡した上で、加工完了後買い戻す必要があるため、増値税額がふくらみ、結果として還付されない部分の金額も大きくなることがあるかと思われます。残る二つの進料加工と国内仕入を比較すれば、進料加工のキャッシュフローが有利となりますが、これは加工企業に原材料を売り渡す必要がないため、還付されない金額への影響が少なくなるためと考えられます。

国内外関係企業間借入に関する税務規定

関係企業間で資金の貸付を行なうことは、国内外にかかわらずよく見られることです。これに関わる中国の税務規定がどのようなものであるか、ここで少し紹介したいと思います。
1 関係会社間の利息に対する、税法の損金処理規定
「中華人民共和国企業所得税実施条例」(国務院令第512号)の規定
第38条 「企業の生産経営活動において発生する下記の利息支出は、損金として処理することができる。…
(2)非金融企業が非金融企業に対して行なう貸付への利息支出で、金融企業の同時期の同類の貸付利息をもって計算する額を超えない部分」
「関係会社への利息支払の損金処理基準関連税務政策問題についての、財政部・国家税務総局の通知」(財税【2008】121号)の規定
「企業が実際に支払った関係会社への利息支出は、本通知第2条の規定に合致するものを除き、それが受け取る関係会社の債権性投資と権益性投資の比率が次のもの。
  (1)金融企業 5:1
  (2)その他企業 2:1」
「『特別納税調整実施弁法(試行)』発行についての、国家税務総局の通知」(国税発[2009]2号)の規定
第86条 「関係会社からの『債資比率』の具体的計算方法は次のとおり。
関係会社債資比率=年度各月平均関係会社からの債権性投資の和/年度各月平均権益性投資の和 そのうち
各月平均関係会社債権投資=(関係会社債権投資月初帳簿残額+月末帳簿残額)/2 各月平均権益性投資=(権益性投資月初帳簿残額+月末帳簿残額)/2
権益性投資は企業の貸借対照表の株主資本の金額となる。株主資本が実収資本(資本金)と資本剰余金の和より小さいとき、権益性投資は実収資本(資本金)と資本剰余金の和となる。実収資本(資本金)と資本剰余金の和が実収資本(資本金)より小さいとき、権益性投資は実収資本(資本金)の金額となる。」

上記より、関係企業間の借入利息支出の損金処理については、「金融企業の同時期同類の貸付利息をもって計算した額を超えない」という規定だけではなく、さらに資本弱体化に関する要求もあり、金融企業の同時期同類の貸付利息をもって計算した額を超えない範囲内で、非金融企業であれば借入金額が企業の権益性投資の2倍を超えてはならないとされています。
当該権益性投資は「株主持分」、「実収資本と資本剰余金の和」「実収資本」に照らして、金額の大きなものが計算に採用されます。
国内企業が利息から源泉徴収するものは、企業所得税及び営業税とその付加税となります。
2 海外に支払う利息に係る税務処理
国内企業が源泉徴収する当該利息に係る企業所得税と営業税及びその附加税については、「『非居住者企業の所得税源泉徴収管理暫定弁法』発行についての、国家税務総局の通知」(国税発[2009]3号、以下「3号文書」という)に以下の規定が見られます。
第3条 「非居住者企業が中国国内から得る株式利息、配当金等の権益性投資収益及び利息、リース料、特許権使用料所得、財産譲渡所得及びその他の所得につき納付すべき企業所得税に対しては源泉徴収方式を採用する。関連法律規定又は契約の約定に基づき、非居住者企業に対し、直接関連代金の負担義務を負う組織又は個人が源泉徴収義務者となる。」
「中華人民共和国企業所得税法実施条例」の規定
第7条「企業所得税法第3条にいう中国国内・国外を源泉とする所得」は、以下の原則に照らして確定される。….
(5)利息所得、リース所得、特許権使用料所得は、所得の負担・支払企業又は機構・場所の所在地により確定するか、又は所得を負担・支払する個人の所在地により確定する。」
利息を支払う企業が国内にあれば、この利息は3号文書がいうところの「非居住者企業が取得する中国国内を源泉とする利息」に該当するため、これに係る企業所得税は源泉徴収しなければならず、その徴収義務者は中国国内企業となります。

「中華人民共和国営業税暫定条例実施細則」(国家税務総局令第52号)の規定
第4条「条例第1条の中華人民共和国国内(以下、「国内」という)での条例が規定する役務の提供、無形固定資産譲渡又は不動産の販売とは、以下をいう。
(1)条例が規定する役務を提供又は受入する組織又は個人が国内にある。」
利息所得は営業税の課税範囲に該当し、それを受けた者が国内にあるため、国内で提供される利息課税役務に該当し、これは国内で営業税を納付する必要があり、当該国内企業が営業税の源泉徴収義務者となります。
この利息所得に係る企業所得税については、以下にも留意する必要があります。
「非居住者企業所得税管理の若干問題についての、国家税務総局の公告」(2011年第24号、以下、「24号公告」という)の規定
第1条  「中国国内企業(以下、「企業」という)と非居住者企業とが利息、リース料、特許権使用料等の所得に関わる契約又は協議を締結し、契約又は協議が約定する日になっても上記金額を支払っていないか、又は契約もしくは協議を変更もしくは修正して支払を延期したがすでに当期の原価、費用として計上して、企業所得税の年度申告書において損金とした場合、企業所得税の年度申告時に企業所得税法の関連規定に基づき企業所得税を源泉徴収しなければならない。
企業が上記の、支払期限は到来しているがまだ支払っていない金額を、一括して当期の原価、費用にするのではなく、相応の資産取得額又は企業の開業費に計上し、このような資産の使用投入又は生産経営開始後に期ごとに分けて原価・費用とし、年度ごとに損金とした場合でも、企業が関連試算を計上した年度の申告時に、上記所得全額にかかる企業所得税を源泉徴収しなければならない。
企業が契約又は協議が約定する日より前に上記の金額を支払った場合、実際に支払ったときに関連規定に基づき企業所得税を源泉徴収しなければならない。」
国内企業が国外企業に支払う利息は、中国の発票を入手することはできず、国外企業が発行した当該国の書式に基づく領収書等の証憑になるかと思われます。これをもって中国企業は損金とできるでしょうか?24号公告を見て考えられるのは、企業所得税の年度申告時に当該利息につき企業所得税を源泉徴収するのであれば、当該利息は損金とすることができるということです。これは、企業所得税法の実際支出の原則に合致しており、国内企業が源泉徴収義務を履行しないことを防止するもので、またこうすることで、企業所得税の課税所得を減らせるものと思われます。
それでは、24号公告の趣旨でいうなら、企業所得税の源泉徴収は自らの企業所得税の年度申告までにやればよいのでは。この理解は正しいでしょうか?実は、正しくないものと考えます。
「中華人民共和国企業所得税法実施条例」(国務院令第512号)第18条には、「利息収入」は契約が約定する債務者が利息を支払うべき日をもって収入を実現する」と規定されています。
また上述の3号文書の第7条にも、次の規定があります。
「源泉徴収義務者が毎回非居住者企業に対し本弁法第3条に規定する所得を支払うか、又はその支払期限が到着したときには、支払った又は期限が到着した支払金額から企業所得税を源泉徴収しなければならない。
本条にいう支払期限が到着して支払うべき金額とは、支払人が発生主義原則に基づき原価・費用に計上した未払金をいう。
源泉徴収義務者は、毎回の源泉徴収時には、その主管税務機関に対し「中華人民共和国企業所得税源泉徴収報告表」及び関連資料を送付し、源泉徴収した日から7日以内に国庫に納付しなければならない。」
このように、国内企業は契約が規定する利息の支払期日、又は支払い期日より前倒しで支払った日に、企業所得税を源泉徴収し、徴収した日から7日以内に納付する必要があることになります。

営業税の源泉徴収義務についても類似の規定がみられます。
「中華人民共和国営業税暫定条例」(国務院令第540号)の規定
第12条 「営業税の納税義務発生時間は、納税者が課税役務を提供、無形固定資産を譲渡、又は不動産を販売して、あわせてその代金を収受したか又はその代金を収受することの証憑を入手したその日となる。営業税の源泉徴収義務発生時間は、納税者の営業税納税義務が発生したその日となる。」
同条例第15条 「営業税の納税期限はそれぞれ5日、10日、15日で、1か月又は四半期とする。納税者の具体的な納税期限は、主管税務機関が納税者の税額の大小により査定する。期限を固定して納税することができない場合、そのつど納税してもよい。
納税者は1か月又は1四半期を一つの納税期間とする場合、期日の末日から15日以内に申告納税する。、5日、10日又は15日を一つの納税期間とする場合、期日の末日から5日以内に税金を予定納付し、次月の1日から15日までの間に申告して前月の納税金額を精算する。
源泉徴収義務者の税の納付期限については、上述2項に照らして処理する。」
「中華人民共和国営業税暫定条例実施細則」(財政部・国家税務総局令第52号 )の規定
第24条「条例第12条にいう、営業収入の代金を収受することの証憑を入手したその日とは、書面契約が確定した支払日当日をいう。書面で契約を締結していないか又は契約に支払日の確定がない場合、課税行為が完了した日とする」
このように、国内企業は契約が規定する利息の支払日、又は支払期日より前の実際支払日の営業税を源泉徴収し、その納税については、上述の規定に照らして行なう必要があります。

News letter No.025

本ニュースレターに記載の情報はあくまでも一般的参考に供するものであり、読者の皆様に対し、いかなるアドバイスをも提供するものでもありません。なお、記載の内容について、何か問題がございましたら、誠にお手数とは存じますが、当社までご連絡いただければ誠に幸いに存じます。

家賃賃貸発票に係る税について

 
企業が経営を行なう中で、建物物件の賃貸は経常的に発生する事項です。この支出を損金とするには発票が必要ですが、ではどのように発票を発行してもらうことが税務上最も有利でしょうか?以下に少しご紹介したいと思います。
(背景)メーカーであるA社は、他のB社から建屋を賃貸しており、年間の賃貸料は税抜で100万元です。B社からは、この価格を決めたときには税金のことは考慮していないので、税金が発生する場合A社で負担してほしいと言われ、A社はこれを了承しました。このケースで、A社はどのようにすれば節税が可能でしょうか?
B社は企業なので、建物を貸した場合、建物税12%並びに営業税5%及びその附加税である都市建設維持税、教育費附加、地方教育費附加、水利基金費(それぞれ営業税の7%、3%、2%、1%、営業税と附加税の合計は5.65%)を納付する必要があります。(その他付随して発生する税はここでは省略します)よって、負担すべき税金は以下となります。

建物税=100万×12%=12万
営業税及び附加税=100万×5.65%=5.65万
税金合計12万+5.65万=17.65万
このとき、B社がA社のために発行する発票の形式には、次のような2種類が考えられます。
(1)100万元を家賃として発票を発行した場合
この場合A社が支払う金額は、100万+17.65万=117.65万元ですが、このうち17.65万元は本来B社が支払う税金を肩代わりしたものであるため、損金にはできません。その根拠は「企業所得税法」第8条に定める以下の規定にあります。
「企業に発生した、原価、費用、税金、損失及びその他支出を含む、収入と関連のある、合理的支出は、課税所得額から控除することができる。」
この税金は、A社とは本来関係のないものであることから、上記規定に基づけば、損金として処理することはできないことになります。
(2)税込金額を契約家賃とした場合
この場合A社が支払う金額は100÷(1-12%-5.65%)=121.43万元です。B社の建物税は121.43万×12%=14.57万元、営業税及び附加税は121.43×5.65%=6.86万元、税金合計は21.43万元となります。B社が納税後に手元に残る金額は121.43万-21.43万=100万元ですので所期の目的は達成されます。A社はB社が発行した121.43万元の家賃発票の金額につき、すべて損金とすることができます。
以上の二つのケースからみて、(1)の処理ではA社が支払う金額は117.65万元で、(2)の処理の121.43万元より少なくなります。ところがこれを損金処理の側面からみると、(1)ではその金額は100万元と(2)の処理の121.43万元にくらべ小さいものとなります。どちらがA社にとって税務上有利なのでしょうか?次のような表にして比較してみました。

項目 ①税抜で家賃発票を発行した場合 ②税込で家賃発票を発行した場合 ③差額=②-① 税金に与える影響
家賃発票金額 100.00 121.43 * *
建物税 12.00 14.57 * *
営業税及び附加税 5.65 6.86 * *
税金合計 17.65 21.43 ④3.78 *
企業所得税上損金となる金額 100.00 121.43 * *
企業所得税への影響額 * * * *
企業所得税税率25% 25.00 30.36 ⑤-5.36 ④+⑤=-1.58
企業所得税税率20% 20.00 24.29 ⑥-4.29 ④+⑥=-0.50
企業所得税税率15% 15.00 18.21 ⑦-3.21 ④+⑦=0.57
企業所得税税率10% 10.00 12.14 ⑧-2.14 ④+⑧=1.64
未実現課税所得額 - - - ④+ 0=3.78

このように、企業所得税の税率が25%又は20%で、企業所得税上の課税所得がある場合、税込金額で発票を発行してもらったほうが、税務上有利で、資金的負担は軽くなるとといえるかと思われます。これに反して、企業所得税の税率が15%又は10%で、やはり企業所得税上の課税所得があるならば、税抜金額で発票を発行してもらったほうが企業の負担は軽くてすみます。

ただし、この表で計算できるのは、ある一つの期における事情だけです。現在及び将来において、企業所得税を納税する必要があるかどうかをます考慮しなければ、上記の比較は意味をなさないものとなってしまうことにご留意をお願いいたします。
ここであわせてご注意いただきたいのは、相手側が企業であり、企業が本来の建物税を納付する際には、この賃貸部分に関して納める建物税は、差し引くことができるという点です。よって、借主はこのことを理由に、建物税の負担については軽減してもらうべく要求することも可能かと考えます。家賃と建物の取得価格から計算する分岐点は次のように計算されます。
賃貸部分の建物の取得価格×(1-30%)×1.2%=年間賃貸料×12%
税負担の均衡点=年間賃貸料÷賃貸部分の建物の取得価格=7%。
賃貸料が賃貸部分の建物の取得価格の7%であるとき、賃貸に係る建物税と建物の取得価格をもとに計算した賃貸部分の建物税の金額とが同等となります。例をあげれば、取得価格が300万元の建物のうち、100万元の部分を賃貸し、年間賃貸料が7万元の場合、賃貸に係る建物税は7万×12%=0.84万となり、建物の取得価格300万元をもとに計算した建物税から差し引くことができる取得価格100万元に相当する部分の建物税は100×(1-30%)×1.2%=0.84万となって、同一金額になります。
よって、B社に支払う年間賃貸料が、対象となる建物部分の取得価格の7%より小さい場合、B社には賃貸により負担が増加した建物税というものは存在しませんので、A社は建物税は負担しない旨要求することが可能かと考えます。また、大きい場合でも差額のみの負担で足りるはずです。このことを考慮に入れるなら、上記の表中のA社が負担すべき税金の数字は少し変わってくるかと思われます。
ここまで述べてきたのは貸主が企業であるケースです。個人の住宅を借りた場合であれば、営業用建物と住宅の違い、家賃金額の違い、負担する個人所得税、営業税及び付加税等の相違を加味した上で、やはり上記の表の原理に基づき比較することになるかと存じます。

この賃貸行為はB社が行なうものであり、建物税も営業税もその納税義務者はB社であるのに、A社がそれを負担してさらに損金にすることは、税法に違反するものとの疑いをもたれないかと懸念される方がいらっしゃるかもしれません。建屋の賃貸は納税者の経営における通常の経済業務です。その賃貸料は、双方が合意して締結する契約であり、「契約法」等の関連の法律法規の規定に合致していれば、貸主がそれに係る税金をコストとして考えるの正常なことかと考えます。
建物の取得価格、建物の減価償却、関連税金等を貸主が利益確保のため、借主に負担するよう要求して賃貸料収入に加えることは、税法上問題はないものと考えます。

遊休建物に対する建物税について

遊休建屋の建物税納税義務については、建物の所有権者及び建物の使用状態に基づき判定するとされています。具体的規定は以下の通りです。
1 建物所有権者が不動産のデベロッパーの場合
「建物税、都市土地使用税関連政策規定についての、国家税務総局の通知」(国税発[2003])89号)第1条には、「不動産デベロッパーが開発する販売用建物物件は、その販売前には不動産デベロッパー企業にとっては一種の商品であることから、不動産デベロッパー企業が建築した販売用建物については、販売前には建物税は徴収しない。但し、販売前に不動産デベロッパー企業がすでに使用又はリース・レンタルしている販売用建物物件については、規定に基づき建物税を課税する。」と規定されています。
2 建物所有権者が不動産デベロッパー企業以外の場合
「中華人民共和国建物税暫定条例」(国発〔1986〕90号)第3条には、「建物税は、建物の取得価格から10%から30%を控除した残額をもとに計算して課税する。具体的にどれだけ控除するかは、省、自治区、直轄市の人民政府が規定する」と定められています。
また、「建物税・都市土地使用税関連政策規定についての、国家税務総局の通知」(国税発〔2003〕89号)第2条には、次の規定が見られます。
(1)新たに販売用建物を購入した場合、建物が使用に供された翌月から建物税及び土地使用税を課税する。
(2)存量建物物件(購入または自ら建築した物件の所有権証明書を取得したもの)については、建物の権利の移転、変更登記手続を行なった日から、不動産権利登記期間が建物権利証を発行した日の次の月から、建物税及び都市土地使用税を課税する。
(3)建物のリース・レンタルについては、リース・レンタルに供した次の月から建物税と都市土地使用税を課税する。

「建物税の若干の具体的問題についての、財政部・国家税務総局の解釈及び暫定規定」(財税地字〔1986〕8号)第19条规定には、「納税者が自ら建設した建物については、検収手続を行った翌月から建物税を課税する。納税者が検収手続を行なう前にすでに使用又はリース・レンタルに供していた新築建物は、規定に基づき建物税を課税する」と規定されています。
また、第16条には、「関連部門の鑑定を経た、損壊して居住に堪えない建物及び危険家屋については、使用を停止した後は建物税を免除する」と規定され、さらに第24条では、「建物が大修理のために半年以上使用を停止している場合、納税者が申請し、税務機関が審査した上で、大修理期間の建物税が免除されることができる」とも規定されています。
このように、企業が保有する建物が「損壊して使用に堪えない及び危険家屋である」場合や、「大修理のため半年以上使用を停止している」といった特殊状況では、条件を満たしていれば建物税が免除されますが、その他の遊休建物については、取得価格に基づき建物税が計算されることになります。
3 建物所有権者が個人の場合
「中華人民共和国建物税暫定条例」(国発〔1986〕90号) 第5条には、「個人が所有する非営業用建物」については建物税は免除するとされています。ここでいう「非営業用」とは、「オフィス用、オフィス・住宅両用・住宅用」といった建物の性質を指すものではなく、建物の使用状態を指すものです。保有する建物を賃貸すれば、その建物の性質が住宅であれオフィス用であれ、非営業用とはならず、建物税を納付する必要が生じます。となれば、個人が保有する遊休建物は、その性質のいかんにかかわらず、すべて「非営業用」に該当し、建物税を納付する必要はないかと考えます。
個人が建物の賃貸を行なう場合の建物税は以下の規定に基づき課税処理されます。
「低賃料賃貸住宅、経済適用住宅及び住宅賃貸関連税務政策についての、財政部・国家税務総局の通知」(財税[2008]24号)第2条第(3)項には、以下が規定されています。
「個人に対し賃貸する住宅については、用途を区分せず3%の税率の基礎の上にこれを半減した営業税と4%の税率で建物税を課税する。土地使用税は免除する。」
このように、個人が住居を賃貸する際の建物税の税率は4%となっています。ただし、個人が貸し出す住居用でない建物(建物産権証上の建物の性質を参照)についてはこの優遇を受けることはできず、建物税は家賃収入の12%で計算されます。

News letter No.024

本ニュースレターに記載の情報はあくまでも一般的参考に供するものであり、読者の皆様に対し、いかなるアドバイスをも提供するものでもありません。なお、記載の内容について、何か問題がございましたら、誠にお手数とは存じますが、当社までご連絡いただければ誠に幸いに存じます。

【税務ニュース】

固定資産加速償却に関わる企業所得税政策を整備することについての財政部・国家税務総局の通知 財税〔2014〕75号

 
国務院の固定資産加速償却政策の精神を貫徹するため、財政部と国家税務総局は、固定資産加速償却に係る企業所得税問題につき、標題の通知を発表しました。その内容は、以下の通りです。
1 バイオ薬品製造業、専用設備製造業、鉄道・船舶・航空宇宙及びその他運輸設備製造業、コンピュータ・通信及びその他電子設備製造業、計測機器製造業、データ通信・ソフトウェア及びデータ技術サービス等六つの業界の企業が、2014年1月1日以降新たに購入した固定資産については、減価償却の耐用年数を短縮するか、又は加速償却の方法を採用することができる。
上記の六つの業界に属する小型薄利企業が2014年1月1日以降新たに購入した研究開発及び生産経営に共用の計測器、設備のうち、単位ごとの単価が100万元を超えないものについては、一括して当期の原価・費用として課税所得額から控除して、以後は減価計算を行なわないことができる。単位あたりの価値が100万元を超えるものについては、減価償却の耐用年数を短縮するか、又は加速償却の方法を採用することができる。
2 すべての業界の企業の、2014年1月1日以降新たに購入した、研究開発に用いる計測器、設備で、単位ごとの単価が100万元を超えないものについては、一括して当期の原価・費用として課税所得額から控除し、以後は減価計算を行なわないことができる。単位あたりの価値が100万元を超えるものについては、減価償却の耐用年数を短縮するか、又は加速償却の方法を採用することができる。

3 すべての業界の企業が保有する、単位あたりの価値が5,000元を超えない固定資産は、一括して当期の原価・費用として課税所得額から控除し、以後は減価計算を行なわないことができる。
4 企業が本通知の第1条、第2条の規定に基づき、減価償却の耐用年数を短縮する場合、最低耐用年数は、企業所得税法実施条例第60条に規定される耐用年数の60パーセントより低くなってはならない。加速償却を採用する場合、二倍定率法又は級数法が採用できる。本通知第1条から第3条に規定する以外の企業の固定資産加速償却については、引き続き企業所得税法及びその実施条例並びに現行の税務政策の規定に従うものとする。
5 本通知は2014年1月1日より実施する。

【税務解説】

「固定資産加速償却に関わる企業所得税政策を整備することについての財政部・国家税務総局の通知」解説

前述のように、財政部と国家税務総局は、財税[2014]第75号文書で、企業所得税政策を整備するためとして、固定資産の加速償却についての規定を発表しました。この内容につき、少し解説したいと思います。
1 関連政策の紹介
(1) 企業所得税法およびその条例
「企業所得税法」第32条には、「企業の固定資産が技術進歩等の原因により、加速償却を必要とする場合、耐用年数の短縮又は加速償却の方法を採用することができる」と規定されています。
また、「企業所得税法実施条例」第98条には、次のように規定されています。
「企業所得税法第32条にいう、耐用年数の短縮又は加速償却を採用することができる固定資産には、以下が含まれる。
①技術進歩により、製品の更新交換が速くなった固定資産
②日常的に強い振動、高い腐食の状態におかれる固定資産
耐用年数短縮の方法を採用する場合、最短耐用年数は、本条例第60条に規定する耐用年数の60パーセントを下回るものであってはならない。加速償却の方法を採用する場合、二倍定率法又は級数法を採用することができる。
(2)「企業の固定資産加速償却に係る所得税処理関連問題についての、国家税務総局の通知」(国税発[2009]81号)では、上記規定に対しさらに細分化を行っています。
(3)「固定資産の加速償却に係る企業所得税政策を整備することについての、財政部・国家税務総局の通知」(〔2014〕75号)では、さらに固定資産の加速償却に関する規定が追加されています。主には次のような内容です。
六つの業界(具体的には冒頭記事をご参照)は2014年1月1日以降に購入した固定資産については、耐用年数を短縮するか、又は加速償却の方法を採用することができる。

上記の六つの業界に属する小型薄利企業が、2014年1月1日以降に購入した、研究開発に使用する固定資産で、単位あたり価値が100万元を超えないものは、一括して減価償却を計上することができ、単位あたり価値が100万元を超えるものにつものにいては、耐用年数短縮又は加速償却の方法を採用することができる。
すべての業界の企業が2014年1月1日以降に、専ら研究開発に使用することを目的に購入した固定資産については、上記小型薄利企業の六つの業界に対する政策と同様となる。
すべての企業が保有する単位あたり価値が5,000元を超えない固定資産は、減価償却費用を一括計上して損金とすることができる。
2 分析
(1) 固定資産減価償却の主要な方法
当該文書に見られるように、固定資産の加速償却には二つの方法があり、一つは耐用年数の短縮、一つは加速償却です。例えば、製造設備は税法の規定では最低耐用年数は10年ですが、条件に合致すれば、企業は6年で定額償却することができます。但し、5年は認められていません。これは税法の規定する最短耐用年数の60パーセントを下回るからです。このように耐用年数を短縮するか、又は二倍定率法もしくは級数法のどちらかを採用することもできます。このような減価償却の方法は、初期には償却額が大きく、次第に償却額が減少するという効果を発するものです。
(2)75号文書の要注意点
75号文書は短いものですが、それが与える効力には大きなものがあります。但し、この文書には不明確な箇所があります。できる限り税務的リスクを回避しながら、政策のメリットを享受するには、以下の点に注意する必要があるかと思われます。
①新たに購入した時期の判定
いつが新たに購入した時間となるか?
支払日、発票日付、受け渡し日又は使用可能となる日のどれが「新たに購入した日」に該当するのでしょうか?
75号文書は企業所得税についての文書ですから、これは企業所得税関連規定の定義に従うこととなります。
企業所得税法第58条には、「外部から購入した固定資産は、購入価格及び支払った関連の税金及び当該資産が予期する用途に達したときまでに発生したその他の支出を税の計算基礎とする」と規定されています。

よって、固定資産が「予期する用途に達した」時点をもって、新たに購入した時点とするのが比較的妥当かと考えます。では、「予期する用途に達する」とはどのようなことでしょうか?例えば、生産企業が購入した製造用設備を据付した後、又は試運転した後、当該設備が正常に運転でき、製造の用に供することを確認したときなどが、「予期した用途に達した」といえるかと思われます。関連証明資料としては、固定資産買入契約、運輸書類、据付費用支出の資料、製造部門の固定資産の製造状態に対する確認書等がこれに含まれます。もし、「専ら研究開発に使用する固定資産」であることを証明するならば、研究開発部門の確認等書類も必要となります。
加えて、固定資産購入にあたり入手した発票にも注目しなければなりません。
固定資産が2014年1月1日以後に「予期する用途に到達」しているが、発票の日付が2014年1月1日より前である、又は2014年1月1日以前に「予期する用途に到達」しているが、発票の日付は2014年1月1日以後であるような場合はどのように処理すればよいのでしょうか?
これらの場合については、2008年の固定資産に係る仕入増値税控除改定時のやり方を参考とすればよいのではないかと考えます。当時、一部企業は固定資産の仕入増値税を控除するため、2008年12月31日までに取得した固定資産につき、発票の発行を2009年1月1日以後とするような方法を用いました。このような状況を避けるため、税務機関は「実質を形式より重んじる」という要求に基づき、発票日付と固定資産取得の関連証明資料を合わせて、その実際に固定資産を取得した日を判定しました。このような例もあるため、企業は、新たに購入した日を確認できるよう、相応する証明資料及び発票等をあらかじめ準備しておかなければなりません。
2 いったん販売した上で、後日再購入した場合、あらたに購入したといえるのか?
例えば、企業が2014年1月1日より前に、自らが保有する固定資産を売却し、それを2014年1月1日以後に買い戻した場合、これは75号文書がいう「新たに購入した固定資産」に該当するのでしょうか?75号文書には、明確にこれを制限する規定はみつかりませんでした。それでも、企業がこのようにするならば、2014年1月1日より前に購入の固定資産が75号文書の優遇を受ける結果になります。
例えば、製造設備の取得価格100万元、減価償却累計額40万元、帳簿価格は60万元の設備を上記のように処理した場合の仕訳は、

固定資産売却時:
借方:固定資産処分60
借方:減価償却累計額40
貸方:固定資産100
増値税額計算
借方:固定資産処分10.2
貸方:未納付税金—未払増値税(売上税額)10.2
固定資産譲渡:
借方:現預金70.2
貸方:固定資産処分70.2
買戻時:
借方:固定資産60
借方:未納付税金—未払増値税(仕入税額)10.2
貸方:現預金70.2 
となります。
この固定資産が75号文書の規定する「新たに購入した固定資産」に対する優遇政策を享受できるとすれば、実際には75号文書の趣旨からははずれることになります。このケースは文書でははっきりと禁止されてはいませんが、文書の精神からは明らかに異なるものです。これについては、さらに明確にされる必要があるかと考えます。
3 固定資産加速償却の会計処理は税務処理と一致していなければならないか

「企業所得税課税所得額に係る若干の税務処理問題についての、国家税務総局の公告」(2012年第15号、以下「15号公告」という)第8条には、「税の損金算入規定と企業の実際の会計処理との間の協調問題については、『企業所得税法』第21条の規定に基づき、企業が財務会計制度に依拠して規定し、実際に財務会計処理上すでに確認した支出で、『企業所得税法』及び関連税務法規が規定する損金算入範囲及び基準を超えないものについては、企業が実際に会計処理上確認した支出に基づき処理し、企業所得税上損金として、その課税所得額を計算することができる」と規定されています。
「企業所得税課税所得額に係る若干問題についての、国家税務総局の公告」(2014年第29号、以下「29号公告」という)では15号公告に対する補充が行なわれていますが、75号文書の規定にある内容は含んでいません。よって、文書からみれば、優遇を享受できることになりますが、これには一定の不確実性があるため、やはり主管税務機関と相談することが必要かと考えます。
4 ここにいう「保有する」に新たに購入した固定資産は含まれるか
75号文書の第3条には、「すべての企業が保有する、単位あたり価値が5,000元を超えない固定資産は、一括して当期の原価・費用として課税所得額から控除し、以後は減価計算を行なわないことができる。」と規定されています。
この規定中の「保有する」は「新たに購入した」に対するもので、即ち2014年1月1日より前に持っていたものをいい、その後に購入したものは、第3条に定める優遇は受けられないと理解される方があるかもしれません。しかし、当方はここでいう「保有」とは一種の状態をいうもので、動作ではないと考えます。従来より持っていても、新たに購入したものであっても、すべて保有する状態にあるため、この政策の優遇は受けられるものと考えております。但し、これについても税務機関との間で明確にする必要があります。このように文中の文言に二通りの解釈ができることは、納税者にとっては不確実な感じを抱かせるかと思いますので、これも今後明確にされることが待たれるところです。

【税務解説】

免税権の放棄が輸出免税及び税還付に与える影響について

皆様は「免税権の放棄」ということばを聞かれたことがおありでしょうか?すべての業界に関わるものではありませんが、ここで少しご紹介したいと思います。
「増値税納税者の免税権放棄関連問題についての、財政部・国家税務総局の通知」(財税〔2007〕127号、以下「127号文書」という)の第3条では、「納税者が免税権を放棄するということは、それが生産・経営するすべての増値税課税物品又は労務に対しともにその適用税率に照らして納税することであり、ある一つの免税項目を選んで免税権を放棄することはできず、また異なる販売相手に基づき一部物品又は役務につき免税権を放棄することもできない」と規定されています。
127号文書でわかることは、納税者が放棄した増値税免税権は全面的権利の放棄であり、すべての増値税項目及び全ての販売対象が含まれるということで、輸出に関しても当然この中に含まれます。
「増値税暫定条例実施細則」第36条では、「納税者が販売した物品又は課税役務に免税規定が適用される場合、免税を放棄し、条例の規定に基づき増値税を納付することができる。免税を放棄した後、36か月以内は再度免税を申請することができない」と規定されています。

以上より、127号文書では、増値税免税権を放棄した後、36か月以内は再度免税を申請することはできず、同時に放棄した企業の輸出を含む全ての免税項目も放棄されると規定しています。ここで注意すべきは、放棄するのは「免税」権であるという点です。
それでは、輸出はどうでしょう?すべての輸出は免税扱いといえるのでしょうか?
ここで、この概念を確認する必要があるかと思われます。外国貿易企業の輸出製品につき普通発票を入手した場合、税還付関連文書に基づき、これは免税・不還付項目に該当するとされます。よって、これは免税権を放棄した範囲に属するものと考えます。
外国貿易企業の輸出につき、増値税専用発票を入手したものについては還付を受けることができます。これが「免除・還付」政策です。製造企業の輸出も還付を受けることができますが、これは「免除・控除・還付」政策です。このように政策には「免除」ということばを含んでいますが、これもまた免税権放棄の範囲に入るのでしょうか?
私たちは、含まれないものと考えています。「増値税暫定条例」第2条第(3)項の規定に基づけば、「納税者の輸出物品は、税率をゼロとする。但し、国務院に別途の定めがある場合は除外する」とあります。
税率ゼロとは何でしょうか?免税との違いは何でしょうか?ゼロ税率とは課税行為であり、売上税額=売上額×税率で決まります。但し、その税率はゼロです。よって、仕入増値税は控除可能、結果免税となるわけです。これに対し、国の優遇政策によりその増値税を免除するとなれば、増値税の連鎖からみて、仕入増値税の控除は不可となり、還付も認められないはずです。
このような考え方に基づけば、127号文書の免税権を放棄するとは、輸出の還付は含まれないと考えられ、当該放棄は、通常の輸出業務には影響を与えないものと考えます。
「『輸出物品役務に係る増値税及び消費税管理弁法』関連問題についての、国家税務総局の公告」 (2013年第12号、以下「12号公告」という)の第3条第(6)項規定によれば、「輸出企業又はその他の組織が、『管理弁法』第11条第(8)項の規定に照らして免税を放棄した場合、主管税務機関に対し「輸出物品・役務免税権放棄声明表」を提出して、届出手続を行なわなければならない。届出の翌月から課税政策が適用され、36か月以内は変更することができない」と定められています。

以上の文書より、輸出免税を放棄するには、「輸出物品・役務免税権放棄声明表」を提出しなければならないことが見て取れます。この原則からいえば、輸出の免税権放棄は、この表が基準となるはずです。但し実務においては、やはり主管税務機関と意思疎通を行なう必要があるかと考えます。

リース収入一括入金時の処理について

企業が資産をリースするとき、リース契約が規定する期間と支払時期が異なることがあるかと思われます。会計・税務処理はどうなるでしょうか?以下に、リース契約の分割払い契約を一括で入金した場合の処理につきお話したいと思います。
1 税務処理
企業所得税の面では、企業は一括して受けとったリース料収入につき、期ごとに分けて売上げを計上することができます。
「企業所得税法の若干の税収問題を確実に貫徹することについての、国家税務総局の通知」(国税函〔2010〕79号 )の第1条には、「『実施条例』第19条の規定に基づき、企業が固定資産、包装物又はその他有形資産の使用権で得たリース収入は、取引契約又は協議に規定される、借主がリース料を支払うべき日をもって収入の実現を確認する。そのうち、もし取引契約又は協議中に規定されたリース期間が年度を跨ぎ、かつリースが一括で支払われた場合、「『実施条例』第9条が規定する収入と費用の分配原則に基づき、貸主は上記のように売上を確認することができ、リース期間内に期ごとに分けて関連年度の収入とすることができる」。
よって、企業が発票を発行した後、増値税は一括で納付しますが、企業所得税は期ごとに分けて収入とすることができます。

会計処理
発票発行金額に基づき
借方:現預金 117万
貸方:売上 20万
貸方:繰延収益 80万
貸方:売上増値税 17万
このようにすると、企業所得税申告書の売上20万元は増値税申告書の売上100万元より少ないことになります。このような状況に対し、税務機関は、企業に対し問い合わせを行い、ことによると調整するよう求めるかもしれません。この場合、企業は、企業所得税の申告書の売上欄にまず100万元を記入し、その上で80万元を不算入とする処理を行なうことになります。その後の年度においては、反対に期間に応じた部分を加えて申告します。このようなやり方は容認されているものです。
また、このように企業所得税上、期ごとに分けて売上計上することにつき、あらかじめ税務機関の承認を得る必要があるかどうかを問い合わせたところ、承認は不要との回答を得ました。

董事・高級管理職の個人所得税についての誤解

外国籍個人の個人所得税納税義務の確認において、ときどき誤解されているケースがあることに気付きました。日本の親会社の役員等が、中国子会社で董事や高級管理職に任命された場合の納税義務についての誤解です。一旦このような職につけば、即中国国内で納税義務が生じるのでは、と考えておられる方が意外に多いようです。この理解は、事実の一部に対するものといえます。
一言でいえば、董事や高級管理職の個人所得税の納税義務につき、通常の従業員と違いがあるとすればただ1点だけです。即ち、中国国内の会社が支給した給与に対する扱いが違うのみで、あとは同様となっています。
中国国内に住所を有しない個人が取得する賃金給与所得に係る納税義務問題についての
国家税務総局の通知(国税発[1994]148号、以下「148号文書」という)の第5条には、
以下が規定されています。
「中国国内の企業の董事、高級管理職にある個人の、それが取得する、当該中国国内企業が支給した董事費又は賃金給与には、本通知の第2条、第3条の法規は適用せず、それが当該中国国内企業の董事又は高級管理職を担当した日から、その職務を解かれる日までの期間において、それが中国国外で職務を履行したか否かにはかかわらず、すべて個人所得税を申告納付しなければならない。それが取得した中国国外企業の支給する賃金給与については、本通知第2条、第3条、第4条の法規に照らして納税義務を確定する」。

ここでの意味は、董事及び高級管理職が中国国内組織が支給する給与を得た場合、その滞在期間や他の要素は考慮せず、任についている期間については個人所得税の納税義務があるというものです。例えば中国の会社負担が2万元、日本の親会社が負担する給与が3万元相当、滞在はその年の183日以内であれば、国内の会社が負担する2万元だけは、たとえその年の滞在日数が183日以内であっても、納税義務があるということです。海外親会社が負担した3万元についての納税義務はありません。通常の従業員と同様、183日を超えてはじめて、この部分についても納税義務が生じます。
また、中国と他の国・地域との租税協定においては、高級管理職に関する条項があることが少ないため、例えば非董事の総経理のような高級管理職と普通の従業員とを同様と考えて問題はないかと思われます。よって、上記規定は董事のみを対象にご留意いただければよいかと考えます。
「中国国内に住所を有しない個人に適用する租税協定と個人所得税の若干問題についての、国家税務総局の通知」(国税発〔2004〕97号)第4条には、以下のような規定が見られます。
「中国に住所を有しない個人が中国国内企業の高級管理職の職務についた場合、当該個人の所在国・地域と中国との間の協定又は取り決め中の董事費条項に、明確に企業の高級管理職を含むと規定されていなければ、それが取得した報酬については、当該協定又は取り決め中の非独立個人の労務条項及び国税発〔1994〕148号文書の第2、3、4条の規定に基づき納税義務を判定することができる」。
総括すれば、董事、高級管理職に対しては、まず租税協定の内容を確認する必要があります。そのとき高級管理職についての条項があれば、中国国内の組織が支給する部分だけが一般従業員と取り扱いが異なることにご留意をいただければと思います。

News letter No.023

本ニュースレターに記載の情報はあくまでも一般的参考に供するものであり、読者の皆様に対し、いかなるアドバイスをも提供するものでもありません。なお、記載の内容について、何か問題がございましたら、誠にお手数とは存じますが、当社までご連絡いただければ誠に幸いに存じます。

【税務ニュース】

さらに小・零細企業の増値税及び営業税に係る政策をサポートするための、財政部・国家税務総局の通知(財税[2014]71号)

 
9月25日、財政部と国家税務総局は、さらに小・零細企業の税務をサポートするため、国務院の承認を経て掲題の通知を公布しました。その内容は、2014年10月1日から2015年12月31日まで、月売上額が2万元から3万元の増値税小規模納税者に対しては増値税を免除し、月営業額が2万元から3万元の営業税納税者に対しては営業税を免除するというものです。

【税務知識】

免税輸入した固定資産を処分する際の増値税の扱いについて

免税で輸入した設備等固定資産を処分する際の状況については、税関監督管理期間内にあるものと、監督管理期間が終了しているものとに分けられるかと思います。以下にそれぞれの状況における固定資産の増値税の扱いにつき、お話しいたします。
1 監督管理期間内に固定資産を処分する場合

「免税輸入設備の税関監督管理を解除して補充納付した輸入増値税の控除問題についての、国家税務総局の許可回答」( 国税函[2009]158号)には、以下のような規定が見られます。
納税者が2008年12月31日までに免税輸入した自家用設備を、監督管理期限到来前に税関監督管理を解除したことにより、税関から2009年1月1日以後に発行された税関輸入増値税専用納付証を取得した場合、そこに記載された増値税額については売上増値税から控除することができる。納税者が上記物品を販売した場合、増値税に適用の税率で増値税額を計算する。
監督管理期間内に免税輸入した固定資産を処分するためには、税関に対し輸入関税と輸入増値税を補充納付しなければなりませんが、このうち増値税は控除が認められています。また、当該固定資産を売却する場合に適用される増値税の率は、通常適用される増値税率(例えば17パーセント)となります。

2 監督管理期間満了後に固定資産を処分する場合
監督管理期間満了後に保税輸入した固定資産を処分する場合、税関に対し関税及び増値税を補充して納付する必要はありませんが、では売却した場合の増値税はどのようにして計算されるのでしょうか?
「一部の物品に適用する増値税低税率及び簡易課税方式で徴収される増値税政策」(財税[2009]9号 )の規定に基づけば、一般納税人が自ら使用していたもので、条例第10条に規定する、「仕入増値税を控除することができず、かつ控除していない固定資産」を販売した場合、簡易課税方式により4パーセントの税率を半減して増値税を計算するとされています。

その原則は、仕入増値税を控除することができず、かつ控除していない固定資産は、販売時には2パーセントで増値税を計算するということです。例えば、2009年1月1日より前の設備に対しては、国はその仕入増値税の控除を認めておらず、かつ企業は仕入増値税を控除していません。よって通常税率で計算するのではなく、4パーセントを半減した税率で計算するというものです。
ただし、少し問題は残ります。実は上記の内容を規定した明確な文書はありません。上記は現行文書の原則的な考え方に基づきまとめたものですが、実際の売却にあたっては、税務機関と相談されることをお勧めいたします。(注)2パーセント適用時の計算方法は次のようになります。
販売額=税込販売額/(1+3%)
納税金額=販売額×2%

自ら生産した物品を販売し、同時に建設業役務を提供する場合の税務処理

増値税と営業税の条例において、一つの非常に重要な概念として、「混合販売」が挙げられます。条例の解釈は、「一つの販売行為が、もし物品と非増値税課税役務の両方に及ぶ場合、これを『混合販売行為』という」と規定しています。例えば、設備の販売と同時に据付サービスを伴う場合、これは典型的な混合販売行為となります。
「増値税暫定条例実施細則」では以下の規定が見られます。
「本細則第6条の規定以外に、物品の製造、卸売又は小売に従事する企業、企業性組織及び個人事業主の混合販売行為は、物品を販売したものとみなして、増値税を納税しなければならない。その他の組織及び個人の混合販売行為は、非増値税課税役務の販売とみなし、増値税は課税されない」。
増値税と営業税の条例において、一つの非常に重要な概念として、「混合販売」が挙げられます。条例の解釈は、「一つの販売行為が、もし物品と非増値税課税役務の両方に及ぶ場合、これを『混合販売行為』という」と規定しています。例えば、設備の販売と同時に据付サービスを伴う場合、これは典型的な混合販売行為となります。
「増値税暫定条例実施細則」では以下の規定が見られます。

「本細則第6条の規定以外に、物品の製造、卸売又は小売に従事する企業、企業性組織及び個人事業主の混合販売行為は、物品を販売したものとみなして、増値税を納税しなければならない。その他の組織及び個人の混合販売行為は、非増値税課税役務の販売とみなし、増値税は課税されない」。
よって、企業が自ら申告した流通税の税種又は工商登記の第1項目の記載からその企業の性格が決定されることになります。
これは、混合販売については、増値税が営業税のどちらかのみを納付することを説明するものです。 ただし、例外もあります。「増値税暫定条例実施細則」中の「本細則第6条の規定を除く」とされている部分です。ではこの除かれる第6条とはどのようなものでしょうか?
「増値税暫定条例実施細則」第6条には、以下が規定されています。
「納税者の以下の混合販売行為は、物品の販売額と非増値税課税役務の営業額に分けて計算し、その物品販売の売上額に対しては増値税を納付し、非増値税課税役務の営業額に対しては増値税は納付しない。分けて計算できない場合、主管税務機関がその物品の売上額を査定して決定する。」
ここでいう行為には、以下が列記されています。
1 自ら製造した物品を販売し、あわせて建築役務を提供する行為
2 財政部、国家税務総局が規定するその他の状況
「納税者が自ら製造した物品を販売し、あわせて建築役務を提供することに関わる税務問題についての、国家税務総局の公告」(2011年第23号、以下「23号公告という」)には、「納税者が自ら製造した物品を販売し、あわせて建築業務を提供する場合、『中華人民共和国増値税暫定条例実施細則』第6条及び「中華人民共和国営業税暫定条例実施細則」第7条の規定に基づき、それぞれ物品の販売額と建築業務役務の営業額を分けて集計し、物品販売額に対しては増値税を、建築業務の営業額に対しては営業税をそれぞれ課税する。分けて計算できない場合、主管税務局が物品販売額と建築業務役務の営業額を査定して決定する。納税者が自ら製造した物品を販売し、同時に建築業の役務を提供する場合、建築業役務発生地の主管税務機関に対し、その機構所在地の主管税務機関が発行した、当該納税者が物品製造に従事する組織又は個人に該当することの証明を提出しなければならない。建築業役務発生地の主管地方税務機関は、納税者が保有する証明に基づき、本公告関連規定に照らして営業税を徴収する」と規定されています。

23号公告では、さらに詳細に、自ら生産した物品を販売し、あわせて建築業役務を提供する場合の処理手順が規定されています。即ち、納税者はまず機構所在地の「国家税務機関」で当該納税者が物品製造に従事する組織又は個人である証明を取得し、その上で、建築業役務発生地の「地方税務機関」に証明を提出して、それぞれ増値税と営業税を分けて納付するというものです。
ここでご留意いただきたいことは、23号公告が発表される以前の「納税者が自ら製造した物品の販売・増値税課税役務の提供を行なうとともに建設業役務を提供する場合の流通税問題についての、国家税務総局の通知」( 国税発〔2002〕117号)では、納税者が自ら製造した物品の販売・増値税課税役務の提供と同時に建設業役務を提供する場合に、営業税と増値税をそれぞれ分けて納付する条件として以下をあげていることです。
(1)建築行政部門に認可された建設業施工(安装)据付資格を有していること
(2)建設工事施工総請負又は一部請負契約中に単独で建設役務の対価が明記されていること
なお、当該文書はすでに失効しており、上記は現在では必須の条件というわけではありません。ご参考までに、ここにご紹介するものです。

増値税申告書記入時の注意事項

納税者が増値税申告書に記入することは、最も日常的な業務の一つですが、みたところ簡単な申告業務ですが、実は一定のリスクを含んでいます。ちょっとした記載ミスや、理解が不十分なことが重大な結果をもたらすこともあることにご留意ください。
ここで、通常起こりうるリスクにつき、少し紹介したいと思います。
1 期限までに申告をしないことにより仕入増値税が控除不能になることについて
当月認証を受けた仕入増値税は、かならずその月に控除しなければならないというのはよく知られた規定です。ところが、業務においては操作が不適切であったことで、わかっていたのにもかかわらず、認証を受けた仕入増値税の控除が不能になることがあります。
(例)一般納税者のA社では、通常その月に入手した増値税専用発票はすべて月内に認証を受けていました。ところが、税務局に情報を送る際に操作を誤り、情報送信が完了していないまま操作を終了してしまいました。結果としてその月に認証を受けた増値税の控除は放棄したことになりましたが、申告期限をすぎてはじめてこれに気づき、時間的にこれらの控除が不能となってしまいました。

このような場合、救済方法はあるのでしょうか?

「期限通りに増値税の控除を申告しなかった税控除証憑関連問題についての、国家税務総局の公告」(2011年第78号、以下、「78号公告」という)には、「増値税の一般納税者が入手した増値税控除証憑を、すでに認証を受けたか、又は情報を収集したが、期限内に控除の申告を行なわなかった場合、真実の取引が発生しかつ取引が本公告第2条が規定する客観的原因に合致する場合、主管税務機関の審査を経て、納税者はその後の申告でこの仕入増値税を控除することができる」と規定されています。
客観的原因には以下が含まれます。
(1)自然災害、社会的突発事件等の不可抗力の原因で、増値税控除証憑につき期限通りに申告できなかった場合
(2)関係司法、行政機関が業務処理又は検査において、納税者の帳簿資料を差し押さえ、凍結したことで、納税者が期限までに申告手続を行なえなかった場合
(3)税務機関の情報システム、ネットワークの故障により、納税者が速やかに認証結果通知書又は調査結果通知書を入手できず、速やかな控除申告ができなかった場合
(4)企業の税金担当者が死傷した、突発的な疾病のため危篤状態に陥った、又は無断で離職し引き継ぎができなかったことにより、期限までに控除の申告ができなかった場合
(5)国家税務総局が規定するその他の状況
上記の例では、納税者は自らの操作ミスにより規定された期限内に控除を申告することができなくなりました。残念ながら、これは78号公告が規定する客観的原因のどれにも該当しません。よって、税務機関は当該納税者がそれ以後に控除を申告することは許可せず、納税者は無駄に多額の仕入増値税が無駄になってしまいました。
ここでまた注意すべきは、78号公告と「期限をすぎた増値税控除証憑の控除問題についての、国家税務総局の公告」(2011年第50号、以下、「50号公告」という)を区別する必要があるということです。50号公告で述べているのは、増値税の控除証憑が規定された期限内に「認証」されていない状況ですが、78号公告が規定しているのは、すでに認証済みのものについては、期限内に控除を申告しなければならないという状況です。

2 輸出と国内販売業務を混同してしまったことで、仕入増値税控除が不可となるケースについて

製造業企業が「免除・控除・還付」方式により還付を受けるのに対し、貿易企業は、「免除・還付」方式で還付額が計算されます。即ち、還付の対象となるのは物品又は役務の輸出に対応する仕入増値税だけで、これに対し還付率に基づく計算がなされます。これは、国内販売の売上増値税の計に算には関係するものではありません。輸出がありまた国内販売もある貿易企業が、国内販売係る仕入増値税を誤って還付計算の額に入れてしまったような場合、当期に控除できる仕入増値税は減少し、納税過多がもたらされます。同時に当該部分の仕入増値税が実際に対応するのは、輸出ではなく国内売上の増値税です。還付は輸出に係る増値税専用発票に基づき行なわれるため、還付もなされません。企業にとっては二重の損失となります。
(例)輸出と国内売上を同時に行なっている貿易企業C社の当月の輸出物品販売に係る仕入増値税は170万元、国内物品販売に係る仕入増値税は100万、国内物品販売に係る売上増値税額は130万でした。その他の要素を考慮しないとすれば、当月の還付税額は150万(還付率は15%と仮定、還付額は170÷17%×15%)、納付すべき増値税額は130-100=30万となります。
当月の仕入増値税は全部認証しているため、増値税申告書の別表2の第35行「当期に認証し合致が確認されている増値税専用発票」中の仕入増値税額は270万です。当月の輸出物品に係る仕入増値税170万は還付の対象なので、当月の売上増値税から控除することはできません。当該数字を増値税申告書別表2の第26行「当期に認証合致し、かつ当期に控除を未申告」と27行「期末にすでに認証合致しているが控除未申告」中に記入すると、別表2の第1行「認証合致したシステムの増値税専用発票」中の税額は270万-170万=100万となり、当月控除できる仕入増値税は100万となります。
上記は通常の記載例ですが、操作ミスにより、国内物品販売と輸出売上を混同して、控除に使用すべき仕入増値税100万元のうち、40万元を輸出売上に係る仕入増値税170万元に加えてしまった場合、当月の納付すべき増値税額は130-(100-40)=70万となってしまいます。40万元は還付の対象でもないため、これは大きな税の浪費です。

ところで、還付率が15%であれば、17%との差はどうするのでしょうか?実は貿易企業においては、徴税率と還付率との差は仕入増値税をコストに振り替えることで処理され、増値税の申告書にその金額は反映されません。その2%を輸出関連の欄に記入すれば、これも増値税を過多に納めることになります。
では反対に、ここに書き込んだ金額が過少の場合、どうなるでしょうか?仕入増値税の控除欄にも書き、還付も申請するようなケースです。このように控除もし、また還付の申告も行なうという状況を防ぐため、税務機関は通常年度調査を行い、納税者の還付申告状況と、上記申告書の数値との対比を行い、差があるようなら、納税者に説明又は調整を求めています。
輸出売上と国内売上の両方がある貿易企業においては、それぞれから発生する仕入増値税を明確に区分する必要があるということです。

3 「発票未発行」に係る増値税の申告について
中国の現行税制において、増値税の申告時点と企業会計準則(制度)又は内部統制制度は一定の矛盾があるかもしれません。発票発行を売上計上の基準としている企業は、言い換えれば売上があっても発票を発行しなければ計上されないことになります。反面、会計準則に基づき売上を計上していれば、増値税申告時に一部売上に関しては発票が未発行ということもありえます。
発票発行を売上計上のタイミングとすれば、増値税申告上は簡便になりますが、会計準則の規定に合致するとは限りません。これに対し、後者は会計準則の規定に基づく処理ですが、増値税申告は少し煩雑かもしれません。
例えば、増値税の申告表では、発票未発行の売上は、増値税申告書の別表1の「発票未発行」欄に記載します。これを発票発行時には増値税申告書別表1の「増値税システム発行の専用発票」列の「当期発票発行金額及び税額」に反映する必要があります。このままにすれば、増値税の申告額は重複してしまいます。
これを解決するため「増値税納税義務発生時間についての、国家税務総局の公告」(2011年第40号、以下、「40号公告」という)では、「納税者が生産経営において物品販売に直接代金受領方式を採用している場合、すでに物品を先方に移送し暫定的に売上を計上しているが、但し、販売代金を受領していないか、又は代金が入金されることの証憑を入手しておらず発票を発行していない売上については、その増値税納税義務の発生時間は、代金を入金したか、又は販売代金が入金されることの証憑を入手した日とする。先に発票を発行した場合、発票発行の日とする」と規定されています。

この文書の主な意図は、条件を満たしていれば、まず暫時売上を計上することができるが、ただし増値税を申告する必要はないということかと推測し、そうであれば、上述の問題の解決方法となるかと考えます。ただし、実務においては、その細かい規定がないため、かならずしもスムーズに運用できないかもしれません。
以下はよく見られる処理の例です。
(例)メーカーであるC社の物品売上は1,170万元(税込み)で、物品はすでに引き渡し済みですが代金は未収です。会計準則の規定に基づき、すでに当期に売上を計上していますが、代金未回収の理由から発票は発行していません。増値税申告書記載時には、この発票未発行売上につ増値税申告書別表1の「発票未発行」欄に税額170万元として記載しました。次月発票発行時にはその欄に-170万元と記載します。
このように処理するケースは多いのですが、次月の発票未発行の収入、又は発票未発行の売上増値税が170万元より少ない場合、この欄の金額はマイナスとなります。このような状況はネットでは申告できず、税務局の申告窓口で手書申告せざるを得なくなります。

【会計知識】

製造業企業の原価計算と原価管理について

製造業企業が原価計算を行なう際には材料、労務費、製造間接費といった要素を、製造原価科目を通じて集計し、当期に製造した完成品に応じて、各製品に配賦することが一般的です。帳簿処理から言えば、材料科目の貸方発生額は、即ち製造原価の借方発生額であり(材料投入金額)、製造原価の貸方金額は即ち完成した製品の借方金額となり、さらには完成した製品の借方額は即ち当期の完成品の製造原価で、棚卸商品の借方額は売上原価となります(特殊な状況は除外します)。
これが通常の計算過程ですが、特殊な状況から上記とは少し異なる経過をたどることがあるかもしれません。例えば、製造過程で材料を再利用し、製造原価としてこれをそのまま集計すれば、製造原価の借方の数値が実際発生額より大きくなります。その再利用した材料の金額は、以前にすでに集計されているからです。結果として完成した商品の借方発生数にも当該重複が反映されることになります。
そのほか、企業が自らの製品を材料としてさらに加工を加えて別の製品を製造するというようなケースもあります。材料として使用した製品の原価をそのまま新たに材料費として加えれば、製造原価の借方集計は、実際に発生した製造原価より大きなものとなります。これも当初に使用した材料、労務費、製造間接費を含んでいるためです。棚卸商品の借方発生数も当該重複分だけ大きくなります。
当月の製造原価を分析して管理する場合、単純に製造原価の借方数値を集計すると上記のような重複が発生し、この重複は当月の完成品原価に反映されます。よってこれらのケースでは、重複部分の原価を控除して計算する必要があります。なお、帳簿処理は製造原価計算の集計とは少し手法が異なるため、また違う角度からの説明となります。

News letter No.022

本ニュースレターに記載の情報はあくまでも一般的参考に供するものであり、読者の皆様に対し、いかなるアドバイスをも提供するものでもありません。なお、記載の内容について、何か問題がございましたら、誠にお手数とは存じますが、当社までご連絡いただければ誠に幸いに存じます。

加工貿易における鋼材輸入保税政策取消についての通知(財関税[2014]37号)

 
7月2日、財政部・税関総署・国家税務総局は、掲題の通知を公布し、加工貿易における一部鋼材の保税輸入の取り消しにつき発表しました。その内容は以下の通りです。
「重大な生産過剰の矛盾を解消するための、国務院の指導意見」(国発〔2013〕41号)中の「税負担の公平政策を確実なものとし、加工貿易における鋼材輸入の保税政策を取り消す」という精神を貫徹するため、財政部、税関総署、国家税務総局は、財関税〔2014〕37号「加工貿易における鋼材輸入保税政策取り消しについての通知」を公布し、関連問題につき、以下のとおり通知する。
1 最初に、国内でも完全に生産が可能で、その品質が川下企業の需要を満たしうる輸入熱間圧延鋼板、冷間圧延鋼板、引き抜きコイル、棒線材、型材、ワイヤー、電気鋼板等の78項の税番号鋼材製品(巻末別紙を参照)に対し、加工貿易における輸入鋼材保税政策を取り消し、2014年7月31日から、関税及び輸入増値税を徴収する。
2014年7月31日より前に締結した契約で、かつ2014年12月31日までに実際に輸入するものについては、契約の有効期限内には引き続き保税方式での加工貿易を行なうことを認める。
2 上記政策措置は、綜合保税区等の税関特殊監督管理区域にも適用するが、ただし、2014年7月31日までに区内にすでに設立され、別紙に列記する製品の加工貿易に従事している企業に対しては、暫時対象から除外する。

納税者が発行する増値税専用発票関連問題についての国家税務総局の公告(2014年第39号)

7月8日、国家税務総局は、掲題の公告を発表し、増値税専用発票の虚偽発行の判断基準につき規定しました。本公告は2014年8月1日から実施されています。
内容は、以下のとおりです。
  
納税者の発行する増値税専用発票関連問題につき、以下公告する。
発行された増値税専用発票が次の状況にすべて合致する場合、虚偽発行された増値税専用発票には該当しない。

1 納税者から発票受領者の納税者に対し、物品の販売、又は増値税の課税役務、課税サービスの提供を行なった
2 納税者が発票受領者の納税者から物品の販売、課税役務もしくは課税サービスの提供に対する代金を受領した、又は代金を回収する根拠となる証憑を入手した
3 納税者が発票受領者の納税者に対し、規定に基づき発行した増値税専用発票の関連内容が、販売した物品、提供した課税役務または課税サービスと合致し、かつ当該増値税専用発票は、納税者が合法的に取得し、かつ自らの名義で発行したものである

発票受領側の納税者が入手した上記状況に合致する増値税専用発票は、増値税控除の証憑とすることができる。

【税務解説】

国家税務総局の2014年第39号公告につき同総局弁公庁が解説

上記のように、掲題公告は7月8日に公布されましたが、これをどう解釈するかにつき、同じく7月8日に、国家税務総局弁公庁が、三つのケースについての解説を発表しています。 以下はその内容です。
虚偽発行された増値税専用発票は、税収に危害を加えることをもって刑罰を受けることもある重要な事項です。納税者が対外的に発行した増値税専用発票が、虚偽の増値税専用発票に該当するか否かは、事実をもってその根拠とし、正確にその画定を行ないます。
このため、税務総局は、「納税者が発行する増値税専用発票関連問題についての国家税務総局の公告」を公布しました。公告には3種類の状況が列記されており、納税者が発行した増値税専用発票が、同時にこの三つの状況に合致すれば、虚偽に発行されたものには該当せず、これにより発票受領者は仕入増値税額を控除できるとしています。
当該公告を理解するには、以下の数点をご理解ください。

1 納税者の増値税専用発票発行にあたっては、納税者がその物品の所有権を有していなければならず、これには直接購入する形での所有権取得が含まれ、また「先売後買」方式による所有権の取得も含まれます。いわゆる「先売後買」とは、納税者が物品を川下に販売してから、川上からその物品を購入するような取引をいいます。
2 名義借り方式で経営を行なうことは広く存在するが、名義借り行為に対し本公告をどのように適用するかは、異なる状況につきそれぞれ確定することが必要となります。第一に、名義借りした側が貸した側の名義で、発票受領側納税者に物品を販売し、増値税税役務又は課税サービスを適用する場合、名義貸し側が納税者となります。名義貸し側が物品の販売者か、又は課税役務・課税サービスの提供者となった場合、名義貸側が納税者として増値税専用発票を発行します。これは、本公告が規定する状況となります。第2に、名義借り側が自分名義で貨物の販売、課税役務、課税サービスの提供を行った場合には、名義貸し側はこの業務とは関係が無く、名義借り側が納税者となるべきかと思います。このような状況下で、名義貸し側がこの業務に係る増値税専用発票を発行した場合、本公告の規定にはそれに対しての記述はしていません。

3 本公告は納税者のある行為が増値税専用発票の虚偽発行に該当しないことを明確にするものですが、その目的は国の税務の安全を保護することと、納税者の合法的権益を擁護することにあります。いいかえれば、本公告は、納税者のある行為が増値税専用発票の虚偽発行には該当しないといっているのみで、それでは三つの状況をすべて満たさなければ、それは虚偽発行となると推論するものではありません。

例を挙げれば、正常な経営をしている研究開発企業が、顧客と研究開発契約を締結し、研究開発費用を受け取り、増値税専用発票を発行したが、研究開発サービスはまだ発生していないかまたはまだ完成していないような場合、本公告が列挙している「発票受領者である納税者に貨物を販売した場合、または増値税の課税役務、課税サービスを提供した場合」ではないため、研究開発企業は、増値税専用発票を虚偽発行したものと判定されます。

【税務知識】

みなし売上収入に関する政策規定と実務処理

会計上では売上ではないのに、税務では「みなし売上」とされることがあります。中国の企業所得税や増値税では、これはどのように規定されているのでしょうか?

増値税暫定条例には、以下のみなし売上に関わる規定がみられます。
組織又は個人事業主の以下の行為は物品販売とみなす。
1 物品を他の組織や個人に引き渡し、代理販売させる
2 代理販売物品を販売する
3 二つ以上の機構を有し統一採算制を実行する納税者が、物品を一つの機構からその他の機構に販売のため移送する。ただし、同一の県(市)内の場合は除外する。
4 自社生産した又は委託加工の物品を増値税非課税項目に使用する
5 自社生産、委託加工の物品を集団的福利又は個人消費に使用する
6 自社生産、委託加工又は購入した物品を投資として、その他の組織又は個人事業主に提供する
7 自社生産、委託加工又は購入した物品を、株主又は投資者に分配する
8 自社生産、委託加工又は購入した物品を無償でその他の組織又は個人に贈与する

企業所得税ではみなし売上につき、以下のように規定しています。
「企業の資産処分所得に係る税処理問題についての通知」(国税函【2008】828号、以下「828号通知」という)
企業が資産を他者に移送する以下の状況については、資産の所有権にすでに変化が生じていることから内部資産処分には該当せず、規定に基づきみなし売上として収入を確定しなければならない。

1 市場拡大又は販売に用いる
2 接待交際に用いる
3 従業員の奨励又は福利に用いる
4 配当に用いる
5 対外的寄贈に用いる
6 その他の資産所有権帰属に変更が生じる用途

このように、増値税と企業所得税のみなし売上規定には幾分相違があります。企業所得税が強調するのは所有権の帰属です。よって、社内での資産移動(海外は含まない)は企業所得税法では売上には該当しません。
増値税で強調されるのは、その連鎖です。例えば自社製品を建屋建設に用いるといった、増値税の非課税項目に使用するような場合、確かに物品は企業外には出ていませんが、増値税の連鎖は断たれ、これに係る仕入増値税は控除済みなのに、売上増値税は発生しないという状況が発生します。これを防ぐため、増値税暫定条例では、同時期の市場価格によるみなし売上として、売上増値税の計上が必要としています。
ところで、ここでちょっとした違いにご留意いただきたいことは、企業がすでに仕入増値税を控除している資産については、企業の範囲を出れば、自社生産であっても購入品であってもみなし売上として売上増値税の計上が必要となりますが、購入した資産を、企業内部の増値税非課税項目に用いた場合は、仕入増値税額を原価に組み入れることで足り、売上増値税の計上は不要となるということです。当然のことながら、一般的な状況では、みなし売上として計上する売上増値税額は、対応する仕入増値税額よりも大きくなるのが普通です。

(計算例)
例1 会社は購入した物品を、市場拡大・売上促進活動のため、消費者への販促品に用いた。購入価格は100(税抜)、仕入増値税額は17、販促に用いたときの会社の同等商品の販売価格は150(税抜)である。
→この行為は増値税暫定条例に規定される、購入品を無償でその他組織又は個人に贈答する行為に該当します。よってみなし売上とされ、その売上増値税額は150×17%=25.5となります。また、この行為は企業所得税でもみなし売上に該当します。
例2 会社は自社生産した物品を、工場建屋の建設に用いた。当該物品の同時期の販売価格は200、原価は150である(すべて仕入増値税控除済みのものとする)。
→この行為は、増値税暫定条例に規定される、自社生産物品を増値税非課税項目に用いることに該当し、みなし売上に係る売上増値税額は200×17%=34となります。なお、この行為は資産が企業から流出していないため、企業所得税上はみなし売上とはなりません。
ところで、この物品が自社生産したものではなく、購入した物品である場合、増値税上のみなし売上には該当しないため、売上増値税を計上するのではなく、仕入増値税の原価組み入れとなり、その額は150*17%=25.5となります。
ところで、当該物品を建屋ではなく設備(不動産に該当しないもの)に用いたのであれば、みなし売上とはされず、また仕入増値税を原価に組み入れる必要もありません。というのは、設備は増値税課税項目であることから、その連鎖が断たれることがないからです。

このときの仕訳は次のようになります。
(1)借方:営業費用125.5
貸方:在庫商品100
貸方:増値税-売上増値税25.5
年度末の企業所得税申告表中のみなし売上収入は150、みなし売上の原価は100、みなし売上の費用は50となります。
この業務の係る課税所得額は、150-100-50-125.5=-125.5となります。

次のような処理方法もあります。
(2)借方:営業費用175.5
貸方:営業収入150
貸方:増値税-売上増値税25.5
借方:営業原価100
貸方:在庫商品100
なお、年度末の企業所得税申告表には影響はありません。
当該業務の最終的な課税所得額は150-100-175.5=-125.5となります。

このように(1)の処理でも(2)の処理でも、企業所得税の最終的な額は同一となります。ではどこが違うのでしょうか?以下で見て行きたいと思います。
(1)の仕訳を用いる場合、みなし売上は企業所得税の申告表において調整しなければならず、またみなし売上に係る原価も計算しなければなりません。少し面倒ですた、この調整を行わなければ、企業所得税申告表の売上と増値税申告表の売上とが合致せず、前者が後者より小さい場合、一般的に税務機関は、年度申告の後調査を行なうか又は企業に調整を要求することになります。かつ、みなし売上物品の用途となる科目に税務上の制限があるような場合、表に記入しないことは納税者が故意に企業所得税を少なく納税することを目的としているとみなされることもあり、税務リスクをはらんでいるといえます。

(2)の処理を選択した場合の業務量は相対的に小さくなります。発生時に処理できるので年度調整の必要もなく、企業所得税と増値税の申告表における売上が合致しないということもないため、税務リスクも発生しません。ただ、売上と原価が対応できないという点が、企業会計準則の定義に合致しないということはあります。たとえば、その行為が企業に経済的利益をもたらさなければ、会計準則が定める売上確認の定義には合致ないので、みなし売上は会計準則では売上とは認識されません。
よって、もし企業が厳格に会計準則の適用を求めないというのであれば、(2)の方法での処理を選択することもできます。会計準則の定義を重視して(1)を選択するのであれば、必ず年度末の企業所得税申告表でみなし売上とそれに係る原価を調整して記載しなければ税務リスクを伴うことにご留意ください。
次に、上記の例2の場合の処理について、お話したいと思います。
この場合、増値税の規定ではみなし売上、企業所得税はみなし売上ではないことになります。
借方:建設仮勘定184
貸方:在庫商品150
貸方:増値税-売上増値税34
企業所得税申告表の調整は、当然不要です。

補足して説明したい2点
1 828号通知の規定では、外部から購入した資産は購入時の価格で売上を計上してよいとしているのに、上記の例ではなぜわざわざ、その販売価格をもって売上金額としているのかと思われる向きもあるかと存じます。
実は、828号通知より後に出された、「2009年度企業所得税年度末確定申告業務を円滑に行なうことについての、国家税務総局の通知」(国税函[2010]148号)中には、以下の規定がみられます。

「828号通知第3条に規定する、企業の資産処分は購入時の価格を売上価格とするというのは、企業が当該資産を処分する目的が売却ではなく、従業員福利等費用支出の性格を有する場合をいい、かつ購入後一般的に一つの納税年度内の処分をいう。」というわけで、案例中の宣伝広告に用いる外部からの購入商品は、上記要求を満たさず、購入時の価格を売上価格とすることができないと考えられます。

2 上記の例で、企業所得税上のみなし売上行為につき、年度の企業所得税の申告表中に、みなし売上150、みなし売上原価100、みなし売上費用50、と記載しても、結局企業所得税の額には影響がないのに、なぜみなし売上という処理をわざわざする必要があるのかとお考えの向きもあるかと思います。
これは、みなし売上行為に該当するものには、接待費、広告宣伝費、寄付金、福利費(集団福利は含まない)等の企業所得税上の損金とする額に制限が設けられている内容のものがあるためです。
接待費を例にとれば、年度の企業所得税の申告表にみなし売上を記入していない状況のもとで、接待費が125.5であったとすれば、このうち損金とできるのは、この額が年間売上の0.5パーセントを超えていなければ、125.5×60%=75.3となります。よってこの場合の課税所得に与える影響は-75.3です。

ここで、接待に使用したみなし売上を加えると、接待費のうち損金とできる金額は、175.5×60%=105.3(これも売上げの0.5パーセントを超えていないことが前提)となり、この場合の課税所得に与える影響は、150-100-105.3=-55.3です。
このように、年度の企業所得税申告表中にみなし売上を記載したところ、企業の課税所得が-55.3-(-75.3)=20増えることになります。よって、科目によっては、みなし売上から、単純に原価費用として引くことができないものがあることから、年度末の調整が必要となるわけです。

暑気予防手当の会計処理について

山東省の関連規定に基づけば、雇用事業主が高温下の業務を手配する場合、「山東省高温天気労働保護弁法」、山東省「企業従業員夏季暑気予防費標準調整についての通知」(魯労社【2006】44号)が規定する基準に基づき、労働者に対し夏季暑気予防費を支給することになります。これは、室外や高温場所で作業する人員については毎月120元、高温場所以外で作業する人員には毎月80元で、6月、7月、8月、9月の4か月に支給が必要となります。

帳簿処理
「企業の従業員福利費会計管理を強化することについての、財政部の通知」(財企[2009]242号)の規定によれば、国の関連会計規定に基づく暖房費手当、暑気予防費等に合致する範囲内のものは、帳簿処理する場合には、借方:原価費用-福利費、貸方:未払従業員給与-福利費で処理しなければならないとされています。

企業所得税処理
「企業の賃金給与及び従業員福利費控除問題についての、国家税務総局の通知」(国税函【2009】3号)には、次のように規定されています。「『実施条例』第40条が規定する企業の従業員福利費とは、以下の内容を含む。……暖房費手当、従業員暑気予防費、従業員困窮手当、救済費、従業員食堂費手当、従業員交通費手当等」
よって、納税者は支給した暑気予防手当につき、福利費の基準である給与額の14パーセントの範囲内で損金とすることができます。

個人所得税の処理
「個人所得税法実施条例」の規定によれば、給与、賃金所得とは、個人が任職する又は雇用されることにより取得した給与、賃金、賞与、年末追加給与、業績手当、手当、補助及びそれが任職する又は雇用されることに関わるその他の所得をいうとされています。
従業員が雇用されたことにより取得した暑気予防手当は、上記の給与・賃金所得に該当し、現行の個人所得税法及びその条例に暑気予防手当につき免税とする規定がない状況においては、その月の給与・賃金に加算して、個人所得税を計算・納付することになります。

News letter No.021

本ニュースレターに記載の情報はあくまでも一般的参考に供するものであり、読者の皆様に対し、いかなるアドバイスをも提供するものでもありません。なお、記載の内容について、何か問題がございましたら、誠にお手数とは存じますが、当社までご連絡いただければ誠に幸いに存じます。

増値税の徴収率が3パーセントに統一(財税[2014]57号)

 
税制を規範的なものとし、税負担を公平化することを目的に、国務院の承認を経て、財務部と国家税務総局は6月13日、従来増値税の徴税率が(注:課税率ではない)が6パーセント又は4パーセントであったものにつき、3パーセントに統一することを決定する掲題の通知を公布しました。その内容は以下の通りです。

1 「一部物品に適用する増値税低税率及び簡易方式で徴収する増値税の政策についての、財政部・国家税務総局の通知」(財税〔2009〕9号)第2条第(1)項及び第(2)項中の「簡易方式に照らして4パーセントで徴税する増値税はこれを半減する」は、「簡易弁法に照らして3パーセントで徴税する増値税はこれを減額して2パーセントで徴収する」に調整する。

「全国で増値税の方式変更改革を実施することに係る若干問題についての、財政部・国家税務総局の通知」(財税〔2008〕170号)第4条第(2)項及び第(3)項中の「4パーセントの徴税率を半減して徴収する増値税」は「簡易方式に照らして3パーセント徴税を2パーセントに減額して徴収する増値税」に調整する。

2 財税〔2009〕9号文書の第2条第(3)項及び第3条の「6パーセントの徴税率に照らして」は「3パーセントの徴税率に照らして」に調整する。

3 財税〔2009〕9号文書の第2条第(4)項の「4パーセントの徴収率に照らして」は「3パーセントの徴収率に照らして」に調整する。

4 本通知は、2014年7月1日より実施する。

財税〔2014〕57号についての、簡単な説明

上記の通り、財税[2014]57号(以下、「57号文書」という)は7月1日より実施されていますが、この通知に関し、以下に留意点を簡単にご説明したいと思います。

1 6パーセントというのは税率ではなく、徴税率であること
57号文書にいう6パーセントとは税率をさすものではありません。営業税から増値税に移行した業務の税率は6パーセントですが、これが対象になり3パーセントに変わるわけではありません。では徴税率6パーセントのものとは何かというと、代表的なところでは、水道水の販売が例としてあげられ、これは今後徴税率が3パーセントとなります。

2 固定資産の販売
使わなくなった固定資産を売却するというのはよくみられる行為です。仕入増値税の控除が認められず未控除となっている使用済固定資産を売却した場合の増値税は、本来の4パーセントを半減して徴収すると従来はされていました。例えば、一般納税者が固定資産を104万元で売却した場合、その係る増値税は104÷1.04×4%÷2=2万というように計算されていました。今回の改定により、2014年7月1日以降は、104÷1.03×2%=2.02万元で増値税が計算されます。

3 増値税専用発票を入手できる場合の徴税率
例えば、納税者が水道会社(一般納税者)から入手した水道水の増値税専用発票の徴税率は従来は6パーセントでした。2014年7月1日からは、この発票に書かれる税率は3パーセントとなるはずです。6パーセントと書かれた発票が提示された場合、受取を拒絶し、発票を3パーセントのものと交換するよう求める必要があります。そうしなければ不要に高い税を負担することになってしまいます。

4 徴税率の低下は購入価格の減額につながる
増値税の徴税率が下がったことを理由に、買い手は売り手に対し価格を下げるよう交渉することも可能かと思われます。

附属設備と附帯施設に関わる税務事項

附属設備及び附帯施設に係る建物税と仕入増値税については、次のような関連の規定があります。

1(建物税)
「建物附属設備と附帯施設の建物税関連問題を明確にすることについての、国家税務総局の通知」 (国税発[2005]173号、以下、「建物税173号文書」という)には、以下の規定がみられます。
家屋の使用機能の維持及び追加又は家屋の設計上の要求を満たすための、家屋を主体物とした、給排水、暖房、消防、セントラル空調、電気、インテリジェンスビル設備等の、随意に移動することが不可能な附属設備及び附帯施設は、会計処理において単独で計上するか否かにかかわらず、すべて建物の取得価格に算入し、建物税課税の計算に加える。

2 (増値税)
「固定資産の仕入増値税額控除問題についての、財政部・国家税務総局の通知」
(財税[2009]113号、以下、「増値税113号文書」という )には、以下のような規定がみられます。
建築物又は構築物を主体物とする附属設備及び附帯施設は、会計上の処理が単独での計上であるか否かにかかわらず、すべて建築物又は構築物の組成部分となり、その仕入増値税を売上増値税から控除することはできない。附属設備及び附帯施設とは、給排水、暖房、衛生、通風、照明、通信、ガス、消防、セントラル空調、エレベーダー、電気、インテリジェンスビル設備及び附帯施設をいう。

以上二つの文書をみると、列挙された「附属設備及び附帯施設」は基本的に同じかと思われます。二つを較べて、建物税173号文書には増値税113号文書記載の衛生、通風、照明、通信、ガス、エレベーターが書かれていないが、これらについては建物税は不要なのかとお思いの方がいらっしゃるかと思います。実際には納税が必要です。「建物税と車両船舶使用税のいくつかの業務問題についての、財政部・国家税務総局の解釈と規定」([1987]財税地字第3号)文書では「建物の取得価格には建物と不可分の各種附属設備や、又は一般的に単独で価値が計算されない附帯施設を含めなければならず、主には、暖房、衛生、通風、照明、ガス等設備と、スチーム、圧縮空気、石油、給排水等のパイプ及び電力、ケーブル等の回線や、エレベーター、昇降機、通路、バルコニー等がある」と規定されています。このように、建物税173号文書で列記されていなかった暖房、衛生、痛風、照明、ガス、エレベーターといった附属設備及び附帯施設がここではすべて表されています。

よって、自ら家屋を建設した企業は、附属設備又は附帯施設に係る税務リスクにつき十分注意する必要があります。設備・施設は一般的に価格が高いものであることから、上記の仕入増値税を控除できない場合、企業にとっては増値税の税負担が大きなものとなります。同時に、建物税の計算基礎となる取得価格も大きくなるため、毎年の建物税の額にも影響を与えることになります。

以下にご留意ください。
1 建物税と増値税の内的連携
建物税と増値税とは性質が異なっており、一つは資産にかかわる税、一つは流通に関わる税です。ただし、附属設備と附帯施設に関しては、これら二つの税は内的連携を有しているといえます。例えば、ある設備につき建物税の課税対象となる附属設備であると認定されれば、それに係る仕入増値税は控除できません。その設備が建築物の附帯施設で仕入増値税を控除できないのであれば、一般的には建物税を納める必要があるとされます。

ところで、建物税173号文書が強調しているのは「家屋」であることです。建物税はその「建物」の取得価格をもとに税額を計算します(ここでは賃貸料にかかる建物税については述べないものとします)。建物税納付の条件は、家屋であることと、その家屋は納税者が所有する財産であることです。

増値税113号文書では「建物税又は構築物」と表現されており、その範囲は建物税がいう「建物」より範囲が大きなものとなっています。「固定資産分類とコード」の中で前2桁が「02」と「03」の固定資産は建築物と構築物とされ、ともに仕入増値税は控除できないものとされています。中国の税務システムでは営業税を徴収しますが、営業税と増値税の課税方法はまったく違うため、営業税項目に用いたものに係る仕入増値税は控除不能です。ところで、不動産は営業税の項目で(他のものが増値税に移行した後も)建築物と構築物は不動産に該当するものです。ここで明確にしたいのは、現在の中国の税務システムにおいて、不動産と動産の扱いは全く違うものであるということです。

2 建物税の納税が不要な建築物の仕入増値税控除
一部の建築物については建物税を納付する必要がありません。例えば、建物の外で独立した建築物です。これには、囲い、煙突、水タンク、変電タワー、油槽、油タンク、酒蔵、野菜蔵、アルコール槽、糖蜜槽、室外プール、温室、レンガ・石灰焼き窯、ガスタンク等があります。これらは建物には該当せず、建物税を納める必要はありませんが、とはいえ、これらは建築物・構築物に該当するものです。よってこれに係る仕入増値税は控除することができません。

3 建物附属設備及び附帯施設を交換した場合の規定
建物税173号文書には、建物附属設備及び附帯施設の交換に対し、その価値を建物の取得価格に入れる際には、もとの相応する設備や施設の価値を差し引くことができると規定されています。附属設備や附帯施設の損壊しやすいものや、日常的な部品交換については、建物の取得価格には入れないとされています。

そのうち、「もとの相応設備と施設の価値」の計算方法については、今のところ明確で統一的な規定はありません。例えば、ある建物の附属設備が、取得価格が1,000万元で、減価償却累計額が300万元、そのうち主要機械部分の取得価格が400万元とした場合に、主要機械が故障により交換が必要となったとき、その新しい機械の金額が500万元とすれば、新しい500万元は取得価格に入れるとして、差し引く部分というのはどのように計算するのでしょうか?もとの取得価格の400万元でしょうか?それとも、帳簿価格の280万元(700×40%=280元)でしょうか?どちらを採用するかにより、差は大きいかと思われます。

同時に、附属設備や附帯施設中の損壊しやすいものや、日常的に交換が必要な部品に対する明確な規定もありません。
以上のように不確定要素が存在することから、税務リスクと損失を避けるためには、現地の税務局とその計算方法につき確認されることをお勧めいたします。

「控除不能仕入増値税」についての誤解固定資産減価償却に関わる会計と税務の差異

1 会計準則の規定
固定資産に係る会計準則は、「企業は、すべての固定資産に対し減価償却を行わなければならない。ただし、すでに償却を終了し引き続き使用している固定資産及び単独で計上した土地については除外する」と規定しています。
新会計準則からいえば、基本的にすべての固定資産は減価償却を計上しなければならず、固定資産準則及びその応用ガイダンスがいう二つの状況のみが償却不要の状況となります。

(1)ガイダンスがいう二つの状況
①すでに減価償却を完了して引き続き使用している固定資産については、再度減価償却を行う必要はありません。
②単独で価格を計算する土地とはどのようなものかというと、この状況は現在多くはないのですが、以前には、行政配分された土地をもって、固定資産として計上するように要求された企業もあったかと思われます。この場合は減価償却を計上する必要はありません。
新会計準則では、さらに一つの状況につき規定しています。企業が建築物(土地込)を購入し、それが合理的に土地と建築物の価格を分けることができないような場合、土地も固定資産に計上するというものです。このような状況では、土地に対しても減価償却が必要となります。「単独で計上した土地であってはじめて減価償却が不要」という表現があるのはこのためです。

(2)ガイダンスがいう二つの状況以外
実際上、会計の角度からみて、これ以外に減価償却を計上しない場合があります。次のような場合です。
①耐用年数が来る前に廃棄した固定資産
②固定資産につき後日発生する支出
固定資産の大修理にあたっては、一般的に企業は固定資産の帳簿価格を建設仮勘定等に移し、暫時減価償却も中止します。この間の支出は建設仮勘定科目に集計されます。このように集計された支出は、大修理が完成して使用可能となった際に、耐用年数が再度決められ、減価償却が開始されます。このように、大修理等で使用が中止されている固定資産については、暫時減価償却は行われません。

2 企業所得税法の規定
「企業所得税法」第11条には以下の規定がみられます。
以下の固定資産は減価償却費を控除することができない。
(1)家屋、建築物以外の使用に供していない固定資産
(2)リース方式で借り入れた固定資産
(3)リース方式で貸し出している固定資産
(4)すでに償却が完了しているが引き続き使用している固定資産
(5)経営活動と関係のない固定資産
(6)単独で固定資産として計上した土地
(7)その他の減価償却できない固定資産

3 会計と税法の区別
ここで、新会計準則と企業所得税法の固定資産減価償却に対する考え方の違いを見てみましょう。
両者を較べると、「家屋、建築物以外の使用に供していない固定資産」「経営活動と関係のない固定資産」の減価償却とにいくぶんの違いがあります。
企業所得税法では、これら2種類の固定資産の減価償却は損金にできないとされています。しかるに、新会計準則はこれら2種類の固定資産についても減価償却を行うべきとしています。例えば、会計上、使用可能状態にある固定資産の減価償却については、使用に供しているか否かにかかわらないとされていますが、税法上では認められておらず、使用に供した後(建物・建築物は除く)はじめて損金にできるとされています。

企業所得税法は、原価費用と収入の関連性を、損金とするための一つの原則としています。たとえば、「企業所得税法」第8条には、「企業に実際に発生した取得した収入と関係のある、合理的支出、これには原価、費用、税金、損失及びその他支出が含まれるが、これらは課税所得を計算する際に控除できる」と規定されています。実際上、第8条の規定がすべての企業所得税法及びその実施条例の損金控除の主な原則となっています。ここで強調されているのは、実際発生、収入と関係のある、合理的であるという三つの原則に合致した原価・費用に限り損金とできるということです。

固定資産(家屋・建築物を除く)は、それが使用に供される前には、この固定資産は経営活動と関係がなく、これと企業が取得する収入とは関連がなく、企業所得税上、損金とできないことになります。

年度を跨ぐ給与項目の控除について

企業所得税法では、損金とするには、以下の原則にのっとったものでなければならないとされています。

1 企業の課税所得の計算は、発生主義を原則とし、当期の収入と費用に該当するもので、支払・入金済みであるか否かにかかわらず、すべて当期の収入及び費用とする。当期の収入及び費用に該当しないものは、すでに支払・入金済みであるか否かにかかわらず、当期の収入及び費用とはしない。
2 企業に実際に発生した、取得した収入と関係のある、合理的な支出、これには原価、費用、税金、損失及びその他の支出が含まれるが、これらは課税所得の計算時に控除することができる。

ところで、年度をまたぐ原価・費用の損金処理は、現在は基本的に以下の文書に基づき処理されます。

「企業所得税若干問題についての、国家税務総局の広告」(2011年第34号)第6条には、「企業に当年度において、実際に発生した関連原価、費用に係る有効な発票が入手できなかった場合、企業は四半期の企業所得税を納付する際には、暫時帳簿上で発生した金額に従い計上することができる。ただし、年度末決算の際には当該原価・費用の有効な発票を提供しなければならない」と規定されています。
以上の規定に基づき、実務上税法で認められた年度は、年度末確定申告を行う前の年度となり、即ち年度末決算前に取得した原価・費用はそれに係る有効な証憑をもって、年度において損金とできます。ただし、ここに一つ問題があります。給与に対しては、伝統的意味での有効な証憑が存在しないことから、給与の年度を跨ぐ費用が上記の原則に当たるかどうかということです。これについては、国としての統一的な規定はなく、各地の規定はそれぞれ異なっています。ここでは、青島国家税務局の規定をご紹介したいと思います。

「2009年度の企業所得税年度末確定申告を円滑に行うための、青島国家税務局の通知」(青国税発〔2010〕9号)の規定
(問題9)
【質問」企業が計上した従業員の給与であるが、まだ支給していないものにつき、企業所得税の損金とできるか?

【回答】
「企業所得税法実施条例」第34条には、企業の給与、賃金の控除時間は実際に支給した納税年度とすると規定されています。よって、もし企業が従業員の給与を計上して、その年に実際に支給していないとすれば、企業所得税の損金とすることはできません。ただし、これは以後の実際に支給した年度に控除することができます。ところで、企業が計上した給与を企業所得税の年度申告前(即ち翌年5月31日より前)に実際に支給していれば、計上した年に控除することができます。

(ご注意)
青島の文書では「翌年5月31日より前」に支給した場合、計上した年に控除することができるとされていますが、この表現は実際の運用上、このまま理解するのは少し難しいところがあると思われます。「翌年の年度確定申告前」に支給した場合と表現すれば、少し合理的になるのではないかと考えます。
たとえば、5月1日に前年計上の給与を支給しても、この会社が3月にすでに前年度の年度確定申告を完了していれば、前年度の損金とできるはずもありません。よって、ここでは、5月31日という表現が誤解をもたらす可能性があるように思われます。ご注意をお願いします。

News letter No.020

本ニュースレターに記載の情報はあくまでも一般的参考に供するものであり、読者の皆様に対し、いかなるアドバイスをも提供するものでもありません。なお、記載の内容について、何か問題がございましたら、誠にお手数とは存じますが、当社までご連絡いただければ誠に幸いに存じます。

貿易外取引の対外支払に係る税につき誤解はありませんか?

 
海外に貿易外取引に係る支払いを行う際には、必ず企業所得税10パーセントを源泉徴収した上で送金する・・・というふうに理解しておられる方はいらっしゃらないでしょうか?もしおられれば、この「必ず」は誤解です。
非居住者企業が「積極所得(労務所得)」と「消極所得(非労務所得)」とでは、係る税に幾分違いがあります。前者はサービス提供のような所得であり、後者は、非居住者企業の中国における配当金や利息、リース料、特許権使用料、資産譲渡所得等といった役務にかかわらない所得です。以下に少しご紹介したいと思います。

1 「積極所得」-役務提供を例にとれば
非居住者企業が中国国内で役務を提供し、国内企業その役務に対し費用を支払った場合
海外企業が中国国内で、例えば従業員又は他の誰かを中国に派遣して建築作業への従事、コンサルティング、修理等を行った場合、それに係る企業所得税の納税義務はどのようにして判定するのでしょうか?現状では以下のようになって決められています。

まず、当該役務の源泉が中国国内にあるか、又は中国国外にあるかを判断する必要があります。国外源泉の場合、中国国内においては企業所得税の納税義務はありません。判断の基準は、「企業所得税法実施条例」第7条第2項の「役務提供所得は、役務の発生地により確定する」です。外国企業の国外でのコンサルティングは企業所得税の納税義務はなく、外国企業が中国で行った修理なら、納税義務が生じるというわけです。
ところで、「非居住者の工事請負作業及び役務提供に係る税務管理暫定弁法」(国家税務総局令2009年第19 号)では、「非居住者企業が中国国内で請負工事を行うか、又は役務を提供する場合、規定に基づき現地の主管税務機関で登記手続を行わなければならない」と規定されていることにもご留意ください。

では、源泉が中国国内にあれば、すべて企業所得税の納税義務があるのでしょうか?そこで、その国内で提供する役務が「恒久的施設(以下、「PE」という)を構成しているかどうかを判定する必要があります。通常これは国内に施設を有しているか否か、又は国内に滞在する時間により判定されます。日中租税条約に基づけば、一般的に6か月を越えて国内で役務を行う場合、税務にPEに該当するとされます。PEを構成しなければ、日中租税協定に基づき、中国での企業所得税は免除されることになります。
租税条約に基づき、企業所得税の免税を受けるのであれば、現地の主管税務機関で申請して認可を得る必要があるとされていることにご注意をお願いします。

2 「消極所得」-非居住者企業の中国国内における受取利息、配当金等の権益性投資収益及び利息、リース料、特許権使用料所得、資産譲渡所得。
では、「消極所得」の場合はどうなるのでしょうか?これらの納税義務が中国国内であるかどうかの判定は次のような判断基準に基づき行われます。

・株式利息、配当金等の権益性投資所得は、それを支払った企業の所在地
・利息所得、リース料所得、特許権使用料所得は、それを負担した企業又は機構、場所の所在地
・資産譲渡所得、不動産譲渡所得は、不動産の所在地
・動産譲渡所得は譲渡した企業又は機構、場所の所在地
・権益性投資資産の譲渡所得は、投資企業の所在地

例をあげれば、国内企業が非居住者企業の技術指導を受けた際の費用は、中国の税務機関はこのような指導は技術に関わるものとして、通常「特許権使用料」に照らしてその納税義務の帰属を確定します。結果として、国内企業は費用支払時に、非居住者企業が納付すべき企業所得税を源泉徴収しなければなりません。

3 まとめ
このように、貿易外取引の支払いに係る国外費用の企業所得税納税義務は、「消極所得」であれば納税義務あり、「積極所得」であれば、その源泉が国内であるか、又は国外であるかを見た上で、国内源泉はPEを構成しているかいないかを判断する必要があります。国内源泉の「積極所得」だがPEを構成しないので、税の優遇を受けるというのであれば、税務機関で審査認可手続きが必要です。

最新の小型薄利企業政策についての解説

国家税務総局の小型薄利企業に対する税の優遇については、複数の文書が公布されていますが、本年4月に発表された「小型薄利企業の企業所得税半減範囲拡大関連問題についての、国家税務総局の公告」(2014年第23号、以下、「23号文書」という)では、さら従来の政策とは少し異なる点をみることができます。以下がその注目点です。

1 「税率の低減政策」と「税の半減政策」という新しい概念が加わる
小型薄利企業は、20%の税率で企業所得税を納付するのが「税率低減政策」です。
課税所得が10万元に満たない小型薄利企業は、当該所得の50%に基づき企業所得税を納税するというのは「税の半減政策」です。
一つは税率の優遇政策、一つは課税基礎への優遇です。二つの概念なので、同時に適用されることが可能です。そして、ともに適用されれば、税率10%で課税されるのと同じ効果が得られます。

2 小型薄利企業への優遇査定について
23号文書は、査定課税方式の企業を小型薄利企業として優遇が受けられる範囲に組み入れています。一般的には、査定課税企業は定率課税と定額課税とに分かれます。定率課税は企業の売上又は費用に基づき利益率を査定して、その課税所得額を計算するもので、その課税所得額に企業所得税率をかけて税額を計算します。定額課税とは定期的に定められた金額を納付するものです。

3 優遇を受けるための税務機関の認可は不要
23号文書が発表されるまでは、小型薄利企業が優遇政策の適用を受けるには、前年度が条件に合致していることを証明するための資料を提出しなければなりませんでした。税務機関の審査・認可後はじめて優遇を受けることができたわけです。
23号文書が発表された後、納税者が行うべきことは、年度企業所得税申告書提出時に、企業の就業人員、資産総額等の状況を税務機関に届出することになりました。

4 新規設立企業も小型薄利企業に対する優遇を受けることができる
新規設立企業には、当然のことながら前年データというものは存在しません。よって23号文書が発表されるまでは、優遇を受けることができませんでした。
今後は企業所得税の納付時に、累計課税所得額が10万元を超えないことを証明すれば優遇を受けられるようになりました。なお、10万元を超えても30万元に満たなければ、税率低減の適用を受けることができます。

5 小型薄利企業の条件に合致する数値の計算
 

小型薄利企業については、「課税所得額」「従業員数」「資産総額」の三つの判断指標があります。これをどのように評価するかは、23号文書が発表されるまでは不明確なものでした。23号文書では、「企業所得税優遇政策に係る若干問題についての、財政部・国家税務総局の通知」(財税[2009]69号)の規定に基づき実施する旨が明確に規定されています。

月平均値=(月初値+月末値)÷2
全年月平均値=全年各月平均値の和÷12
この計算方法は、年初と年末を合計するよりさらに合理的なものとなっています。例えば企業の年度の中間の「従業員数」「資産総額」の発生に大きな変化があった場合、年初と年末の簡単な平均では、真実の状況を反映するとは言いがたいからです。

単一の文書に頼った処理には税務リスクが~固定資産のリース料を例に~

中国の税に関する規定は、一つの法律だけで完備されたものとなっているとは言い難く、補足するための多くの通知や公告が出されています。よって、一つの文書だけに頼って解釈することは税務リスクにつながるかもしれません。ここでは固定資産のリース料を例にお話したいと思います。

企業所得税実施条例の規定では、リース方式で得た固定資産のリース料は、リース期間で均等に按分するとされています。これだけ見ればとても簡単なように思われます。

ところが、均等に割るだけではすまない場合もあります。無償でリースする期間が存在したり、毎年支払うリース料が効果とリンクしているような場合です。このような場合、リース料に係る発票の金額も期間で均等に割って発行というわけにはいかなくなります。ではリースを受けた企業は、企業所得税実施条例の規定に基づけばよいのか、それとも発票の金額に基づくのかという悩ましい選択に迫られるのではないでしょうか?

1 リース料の会計処理規定
(1)借主の会計処理
「企業会計準則解説」の規定によれば、借主はリース料をリース期間内で定額法により資産又は当期損益とする、とされています。他にさらに系統だった合理的な方法があれば、その他の方法を採用することもできます。
他のさらに系統だった合理的な方法とは、例えばリースによる自動車を走行距離で按分したり、設備のリース料を作業時間で按分したりする方法です。

リースに無償の期間があっても、借主はリース総額を無償の期間をも含んだ期間をもって、定額法又はより合理的なその他の方法で償却することになります。無償の期間内もリース費用と相応の負債を計上しなければなりません。

(2)貸主の会計処理
「企業会計準則解釈」の規定に基づけば、一般的には貸主は受け取るリース料を定額法を用いてリース期間内で按分して収益とします。ただし、特殊な状況下では、定額法よりさらに合理的な方法を採用することになります。
貸主が提供する無償期間については、貸主はリース総額を無償の期間をも含んだ期間をもって、定額法又はその他のさらに合理的な方法で按分して売上を計上します。

2 リース料の税務処理規定
(1)リース料の規定
「企業所得税法実施条例」第47条には、リース方式で固定資産を得たことで発生したリース料支出は、リース期間内で均等に控除すると規定されています。

(2)リース収入についての規定
「企業所得税法実施条例」第19条には、リース料収入は、契約が約定する借主がリース料を支払うべき日をもって売上とすると規定されています。 

また、「企業所得税法の確実な実施に係る若干の税務問題についての、国家税務総局の通知」(国税函[2010]79号)の第1条には、企業が固定資産、包装物又はその他の有形資産の使用権提供により取得したリース料収入については、取引契約又は協議が規定する借主が支払うべき日をもって売上を確認するとしています。そのうち、取引契約又は協議中に規定するリース期間が年度を跨ぎ、かつリース料が一括して支払われる場合、「実施条例」第9条が規定する収入と費用の対比原則に基づき、貸主はすでに確認した売上に対し、期間ごとに均等に分けた上でそれぞれの年度の売上としなければならないと規定しています。

3 上記のまとめ
会計上、リース費用は定額法又はその他のさらに合理的な方法によって、リース期間において分担しなければならず、リース収入は定額法又はその他のさらに合理的な方法によって、リース期間内に売上を計上しなければならないとされています。ここにいうリース期間には、費用免除期間が含まれます。

税務上、リース費用はリース期間で均等に控除することになり、リース収入は契約が規定する支払期日に基づき決定されます。税務上は無償期間に関する特別の規定はありません。よって、リース費用は無償期間を含んだ期間で按分しますが、リース収入については無償期間は計上されません。

4 簡単な例
貸主の甲は借主の乙に建物をリースし、乙はこれを経営に用いている。リース料総額は1,500万元、リース期間は5年で、最初の2年間はリース料は無料、その後3年間で毎年500万元ずつリース料を支払う。

(会計上)
甲は5年で均等に分けて売上計上、毎年の売上は1500÷5=300万。
乙も5年で均等に分けて費用計上、毎年のリース料は1500÷5=300万元。

(税務上)甲は最初の2年間は売上を計上しない。3年目から5年目までの毎年のリース売上は500万元。
乙は1年目から300万元ずつ費用を計上。
上記リース料を1年目に一括して支払う場合、貸手である甲の収入は、会計上機関ごとに分けることができ、また税務上も5年に分けてよいとされています。乙のほうは会計上期間に応じて費用計上し、税務上でも期間に分けて損金処理します。

5 実務処理における文書規定と控除用証憑の衝突
上記は会計上と税務上の処理の基本的考え方ですが、実務においては、その期に借手が入手した発票と償却すべき金額が一致しないことがあるかと思われます。これについては、次のような規定があります。

「企業所得税若干問題についての、国家税務総局の公告」(2011年第34号)には、企業においてその年に実際に発生した関連コスト、費用につき、各種の理由によりそれらに関わる有効な証憑を入手できない場合、企業は四半期の企業所得税を予定納付する際に、暫時帳簿発生金額をもって計上してもよいが、ただし年度末確定申告においては、当該原価・費用に対する有効は証憑を入手していなければならない、と規定されています。

よって、借主は確定申告が完了するまでに発票を入手していないリース料に関しては、損金とすることができません。文書では「有効な証憑」という範囲を拡大した表現がなされていますが、内容からみて、必ず発票が含まれまると考えます。
企業所得税法実施条例の規定では認められているからといって、発票未入手のリース料を損金とした場合、これが税務機関に認められないというリスクを含んでいることにご留意をお願いします。

「控除不能仕入増値税」についての誤解

増値税はその連続性が途切れると、それに係る仕入増値税を、他の売上に係る増値税から控除することができず原価に振り替えなければならない、というのは比較的よく知られたルールではないかと思います。言ってしまえば簡単ですが、その内容は思うほど単純でない点もあります。例をあげてみます。

(例1)
A社は、固定資産を購入し、これにかかる仕入増値税を控除しました。当該固定資産はもともとは増値税の課税売上製品の製造に用いるものでした。
ところが、その後A社の製品に対する税の扱いに変化が生じ、これの製品は増値税の免税対象となりました。A社は、この固定資産はもともと課税製品の製造にも使っており、免税製品の製造のみに用いたというわけではないので、控除した仕入増値税をもどして原価に振り替える必要はないと判断しました。

では実際の税の扱いはどうでしょうか?当該固定資産の仕入増値税が控除できるのは、「同時に」課税製品と免税製品の製造に使用した場合です。この例では、「同時に」製造したわけではありませんので、免税製品控除した仕入増値税は、免税製品製造期間に関しては、原価算入の処理をする必要があります。A社の判断では過少納税が生じ、税務リスクが生まれています。

(例2)
B社は、原材料を購入し、増値税の課税品と免税品の生産に用いていますが、規定に基づき、購入した原材料の仕入増値税をにつき、免税収入が全体収入に占める割合をもって原価に振り替えました。その中には生産に投入していない原材料に係る増値税も含まれていましたが、B社は、後日この未使用だった原材料を使って免税品を生産した際に、思い違いをして再度、仕入増値税から原価に振り替えてしまいました。結果として増値税を不要に多く納めることになってしまいました。

(例3)
C社は、物品を購入し、企業の固定資産(不動産以外)を製作する行為につき、誤ってその仕入増値税を原価に振り替えてしまいました。結果として過大納税がもたらされました。

(例4)
D社は、控除不能の仕入増値税とみなし売上の概念を混同してしまいました。企業が購入した物品を販促活動に用いた場合、仕入増値税を控除しないというのは、みなし売上に係る売上増値税が発生することの結果です。ところで、このみなし売上の金額は市場価格に照らして決めるのが通常で、市場価格は往々にして仕入価格より高いものです。このケースで仕入増値税を原価に振り替える処理は、税務上適切ではありません。

(例5)
E社には免税収入が発生し、控除不能仕入増値税額を計算するに当たり、免税収入のすべての収入に占める割合により計算しました。ただし、実際には、当期の課税項目に係る仕入増値税額は明確にわかっていましたので、逆算して免税売上に係る仕入増値税額を計算することは可能でした。E社の場合、結果として多めに仕入増値税を振り替える結果となってしまいました。

このように、誤解に基づく間違った処理が行われる可能性があります。もう1度、控除不能の仕入増値税につきまとめてみたいと思います。

1 関連文書規定
「鉄道運輸及び郵政事業の営業税から増値税への移行試行についての、財政部・国家税務総局の通知」(財税〔2013〕106号、以下「106号文書」という)第24条には、以下項目の仕入増値税額は売上増値税額から控除できないと規定されています。

(1)簡易課税方式を用いて税を計算する項目、増値税課税項目でないもの、増値税免税項目、集団福利に関わる又は個人が消費する購入物品、加工修理交換の役務又は課税サービスの受入れ。そのうち、固定資産、特許技術、非特許技術、のれん、商標、著作権、有形動産リース、上記項目にのみ用いる固定資産、特許技術、非特許技術、のれん、商標、著作権、有形動産リース。
(2)異常損失となった購入物品及び関連加工修理交換の役務又は交通運輸サービス。
(3)異常損失となった仕掛品、製品に使用した、購入物品(固定資産は含まない)、加工修理交換役務又は交通運輸業サービス
(4)受け入れた旅客運輸サービス

2 文書が規定する解釈
(1)簡易課税方式の項目
この項目は多いため、ここでは、代表的ないくつかだけを紹介いたします。例えば、小規模納税者は3パーセントの徴税率(徴税率です。増値税の税率が3パーセントになるという意味ではありません。)で増値税を納税します。増値税を控除することができないまま控除していない固定資産を販売した場合、4パーセントを半分に減額して徴税します。水道水、商品用コンクリート等6パーセン等の徴税率のものを販売した場合、その徴税率で増値税を計算し、仕入増値税の控除は認められていません。

(2)増値税課税項目でないもの
これら項目とは、増値税の非課税役務、無形資産(特許技術、非特許技術、のれん、商標、著作権は除外)譲渡、不動産及び建設中不動産の売をいいます。
よって、非増値税課税項目には二つの領域があり、一つは役務の提供、一つは財産の譲渡です。
役務については、コミッション、労務費、不動産建設、内装といった増値税に移行されなかった項目がこれにあたります。
不動産の譲渡は従来通り営業税を納付します。土地使用権の譲渡も営業税の範囲です。技術関連、のれん、商標、著作権等は営業税から増値税へ移行されていますので、増値税の課税項目となります。

(3)増値税免税項目
増値税免税項目は多いため、ここでは代表的ないくつかのみを紹介いたします。例えば次のようなものがこれに該当します。
・流通環節にある野菜、生鮮肉・玉子等
・農業生産者が販売する自ら生産した農産物、条件に合致する飼料、化学肥料等
・納税者が提供する国際貨物運輸代理サービス
・納税者が国外に提供する技術サービス、情報システムサービス、物流補助業務、コンサルティング業務。
ところで、増値税の徴収免除とは売上増値税を免除することをいうのではありません。その意味するところは、納付すべき増値税額を免除するということです。
例えば、免税製品100を販売し、これの本来の税率が17パーセントで売上増値税額は17、これに係る仕入増値税額は10とすれば、免税となる増値税額は17-10=7ということです。売上増値税額の17を免除してしまって、仕入増値税額はそのまま控除を認めるならば、この仕入増値税はその他の売上増値税との控除に使用されてします。これは本来の増値税の考え方からはずれるものです。よって、納税すべき増値税を免除するという方法がとられるわけです。

(4)集団福利
例えば食堂の費用、従業員の送迎バス費用、企業が購入した物品の集団福利への使用といったものについては、それに係る仕入増値税は控除できません。もし自ら生産した物品を集団福利に用いた場合、みなし販売に該当し、当該物品の市場価格で計算して売上増値税を決めることになります。

(5)個人が消費したもの

(6)以上の項目に関わる、固定資産、特許技術、非特許技術、のれん、商標、著作権、有形動産リース。これらは、上記項目にのみ使用するものをいいます。
この「上記項目にのみ用いる」とは、例えば企業が購入したボイラーを、食堂と現場の製造に「同時に」使用するのであれば、その仕入増値税は控除可能となりますが、ボイラーを食堂のみに使用している場合、「上記項目にのみ使用する」に該当しますので、仕入増値税は控除不能です。当該ボイラーを最初は製造に用い、その後は食堂にのみ用いる場合、その仕入増値税は最初の時期は控除できますが、その後は控除できません。控除できない金額は、「固定資産帳簿価格×適用税率」をもって計算します。

(7)異常損失となった購入物品等
これは管理不全による盗難、紛失、カビ・腐敗変質の損失、及び法により没収された又は強制命令により自ら処分した物品をいいます。
部管理制度の不全により、購入した物品が損失を被った場合、その仕入増値税は控除することができません。よって台風、地震等の不可抗力により物品に損失が生じた場合、その仕入増値税は控除することができます。ここでの購入物品には固定資産も含まれます。

(8)異常損失となった仕掛品、製品に使用した購入物品(固定資産は含まない)等。
生産企業の製品の異常損失に当たっては、その原価である原材料、水・電気、固定資産には仕入増値税が存在するかと思われます。これらのうちの原材料、水・電気等に係る仕入増値税は原価に振り替えなければなりませんが、固定資産にかかる仕入増値税についてはその処理は不要です。
では、なぜ固定資産の仕入増値税については処理不要なのかという疑問が生じるかと思います。実は「全国で増値税の構造改革を実施することの若干問題についての、財政部・国家税務総局の通知」(財税[2008]170号)第5条では「納税者がすでに仕入増値税額を控除した固定資産に、条例第10条(1)から(3)項に該当する状況が発生した場合、当月に下記計算式(控除不能仕入増値税額=固定資産帳簿価格×適用税率)に従い控除不能の仕入増値税額を計算しなければならない」というような規定がみられます。

とはいえ、この文書通りに処理すれば、その固定資産を使って製造した製品の一部に異常損失が発生すれば、当該固定資産帳簿価格にかかる仕入増値税がすべて控除不能となるという、納税者にとって明らかに不合理な現象が発生してしまいます。

そこで106号文書では、異常損失が発生した仕掛品、製品に使用した購入物品には固定資産は含まないと明確に規定しています。
ただし、購入した固定資産に異常損失が発生した場合は、仕入増値税は控除できないということとの違いに、ご留意をいただければと存じます。

(9)具体的計算方法
①簡易課税方式計算項目、増値税非課税項目、増値税免税項目の場合
控除不能仕入増値税額=当期に区分不能の全ての仕入増値税額×(当期簡易課税方式計算項目の売上額+増値税非課税項目の役務営業額+増値税免税項目の売上額)÷(当期の全ての売上額+当期の全ての営業額)

(ご注意いただきたい点)
・この計算式は上記3項目のみに採用。
・正確に区分できる仕入増値税については、上記計算式の範囲には含めない。
・すでに上記計算式で計算し仕入増値税の控除不能処理をしたものについては、その後の控除不能項目への使用に際しては、再度控除不能処理を行う必要はない。
・上記計算式で計算したからといって、それでは控除不能とし原価に振り替えた仕入増値税額が完全に正しいかというと、そういうことにはならないと考えます。例えば、仕入増値税額が大きい月には、控除不能処理をした額は過大となるかもしれません。反対に他の月で免税売上が多かったにもかかわらず、仕入増値税額が少なければ過少となります。

このような状況に鑑みて、106号文件では、主管税務機関は上記計算式に基づき、1年を通じて控除不能額を計算した上で、企業の処理を調整することができる旨が規定されています。

②その他の項目の場合
上記計算式は適用せず、当期の実際の原価に照らして控除不能の仕入増値税額を計算する

例えば、購入した原材料を建屋の建設に用い、仕入増値税の控除ができなくなった際に、当該原材料は複数回にわたり購入しており、その購入価格は毎回異なるため、建屋建設に用いた原材料の仕入増値税を正確に計算できないような状況においては、当該原材料の実際原価に税率をかけて、控除不能仕入増額を計算することになります。この場合の実際原価とは、企業が原価計算において算出したものをいいます。

③固定資産、特許技術、非特許技術、のれん、商標、著作権、有形動産リースとは、上記項目にのみ使用する固定資産、特許技術、非特許技術、のれん、商標、著作権、有形動産リースをいいます。
すなわち、増値税課税項目にも、また簡易課税項目、増値税非課税項目、増値税免税項目、集団福利又は個人消費の目的にも同時に使用する場合、その仕入増値税は控除することができ、原価に振り替える必要はありません。簡単にいえば「同時に使用する」ことがポイントとなるということです。

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ニュース

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