Archive for 5月 2014

News letter No.019

本ニュースレターに記載の情報はあくまでも一般的参考に供するものであり、読者の皆様に対し、いかなるアドバイスをも提供するものでもありません。なお、記載の内容について、何か問題がございましたら、誠にお手数とは存じますが、当社までご連絡いただければ誠に幸いに存じます。

(税務ニュース)

小型薄利企業に対する所得税優遇政策関連問題についての、財政部・国家税務総局の通知(財税[2014]34号)

 
4月8日、財政部と国家税務総局は、さらに小型薄利企業の発展をサポートするため、企業所得税優遇に関する掲題の通知を発表しました。その内容は以下の通りです。

1.2014年1月1日から2016年12月31日まで、年間課税所得が10万元以下の小型薄利企業は、その所得の50パーセントを減じた上で20パーセントの税率をもって企業所得税を納付する。

2.本通知の小型薄利企業とは、「中 華人民共和国企業所得税法」及びその実施条例、並びに関連税務政策が規定する小型薄利企業をいう。

(税務解説)

「小型薄利企業に対する所得税優遇政策関連問題についての、財政部・国家税務総局の通知」解説
-小型薄利企業への優遇の拡大-

小型薄利企業へのさらなる企業所得税優遇につき、財政部と国家税務総局は上述の通知を発表しました。以下では、小型薄利企業への優遇の今までの経緯と今回の優遇の内容につき、ご紹介したいと思います。

1 小型薄利企業への優遇は徐々に拡大
小型薄利企業とされる場合とそうでない場合では、支払うべき税金にどのくらい違いがあるのでしょうか。簡単な数字をあてはめれば、次のようになります。

たとえば、課税所得額が10万元の場合、小型薄利企業の条件にあてはまらなければ25パーセントの税率が適用されその税額は2.5万元ですが、小型薄利企業が適用される場合、10万元×50%×20%=1万元と、税率が10パーセントであるのと同様の税額となります。これは大きな優遇かと思われます。

小型薄利企業に対する政策の流れ

 2008年に改定された企業所得税法及びその実施条例では、小型薄利企業の税率は20パーセントと定められました。この後、次々とその基準及び税率に対し新しい通知が発表されます。

・2010年1月1日-2011年12月31日 年間課税所得額が3万元以下の小型薄利企業は、課税所得を半分とした上で20パーセントの税率で課税
・2012年1月1日-2015年12月31日 年間課税所得額が6万元以下の小型薄利企業は、課税所得を半分とした上で20パーセントの税率で課税
・2014年1月1日-2016年12月31日 年間課税所得額が10万元以下の小型薄利企業は、課税所得を半分とした上で20パーセントの税率で課税

上記のように、税務機関の小型薄利企業に対する優遇は、当初の課税所得3万元以下から今回の10万元以下と、一貫してその範囲を拡大していることがわかります。

2 小型薄利企業の指標計算
小型薄利企業に対する基準を定めている規定には以下があります。

(1)企業所得税法実施条例(以下、「実施条例」という)

第92条 企業所得税法第28条第1項が定める小型薄利企業の条件とは、国が制限又は禁止しない分野に従事する、下記条件に合致する企業をいう。
①工業企業の場合、年度の課税所得額が30万元を超えず、就業する人員が100人を超えず、資産総額が3,000万元を超えないもの。
②その他の企業の場合、年度の課税所得額が30万元を超えず、就業する人員が80人を超えず、資産総額が1,000万元を超えないもの。

(2)「小型薄利企業の所得税予定納税問題についての、国家税務総局の通知」(国税函〔2008〕251号)(以下、「251号文書」という)の第3条には、以下のように、それぞれの条件につき定義が説明されています。

(二)就業人数:納税年度内に企業との間で労働関係を形成した(相対的に固定された関係を含む)従業員の平均人数
年度従業員数=(1月+2月+……+12月)/12
(三)資産総額:企業の全ての資産の総量上のひとつの叙述であり、企業の株主権益と負債の和となる。前年度の貸借対照表の資産総額を記載する。
年度資産総額=(期初+期末)/2

(3)従業員数と資産総額に対する計算には、実はもろもろの規定の間に衝突がみられます。

251号文書が規定する計算方法は上記の通りですが、これは「企業所得税優遇政策実施に係る若干問題についての、財政部・国家税務総局の通知」(財税〔2009〕69号、以下、69号文書という)が規定する計算方法とは違っています。69号文書の定義は以下です。

実施条例第92条第1項第2号での就業人数とは、企業が労働関係を形成した従業員数と企業で受け入れている派遣労働者の人数の和をいう。就業人数と資産総額の指標は、企業の1年間の平均値により確定し、具体的な計算式は以下となる。
月平均値=(月初値+月末値)÷2
全年月平均値=全年各月平均値の和÷12
年度の途中で開業した、又は経営活動を終了したものは、その実際の経営した期間を一つの納税年度として上記指標を確定する。

69号文書は2009年に発表され、251号文書は2008年に発表されています。それなら新しいものを基準とするのではないかと思われがちですが、実際にはそうではありません。「小型薄利企業の2010年度企業所得税予定納税関連問題についての、国家税務総局の通知」(国税函〔2010〕185号)と「小型薄利企業の企業所得税予定納税関連問題についての、国家税務総局の公告」(2012年第14号、以下、「14号文書」という)ではともに、「条件に合致する小型薄利企業の『就業人数』『資産総額』の計算基準は、251号文書の第2条に基づき実施する」と規定されています。

このことから、小型薄利企業の各指標の基準を実施するにあたっては、251号文書に基づき実施すべきである、という結論が導かれるのではないかと考えます。

3 申告方式
上述の14号文書には、小型薄利企業の優遇につき「予定納税は優遇、年度には実際に基づく」という記載がみられます。

すなわち、企業所得税を各四半期(月)ごとに予定納税する際には、予定納税申告表の9行目の「実際利益総額」に15パーセントをかけたものを暫時12行目の「減免所得税額」に記入し、年度終了時には税務期間が当該年度において、はたして小型薄利企業に該当するかどうかを確かめた後、もし該当しなければ、減免された所得税額を確定申告の際に補充して納付することになります。

条件に合致する小型薄利企業が企業所得税を予定申告する際には、主管税務機関に前納税年度には小型薄利企業の条件に合致していたという証明資料を提出しなければなりません。主管税務機関が企業から提供された関連証明資料を確認したあと、当該企業は前納税年度には規定された条件に合致していないと認定した場合、本公告第1条に規定する方法で納税申告表に記載することはできないとされています。

注:青島市の税務局の場合、小型薄利企業の関連証明の提供は要求されておらず、企業は自ら計算することですみます。

 

(税務知識)

増値税の免税政策が必ずしも企業に有利とは限らないことについて

増値税暫定条例及びその実施細則、並びに関連文書では、いくつかの増値税免税政策が規定されています。

例えば野菜や一部の生鮮の肉や玉子も流通環節では増値税が免除されています。技術譲渡・技術開発、及びこれに関連する技術コンサルティングや技術サービスも増値税は免除とされています。増値税の免税を受ければ納税者の税負担は下がるのが普通ですが、ただし状況によっては、免税政策を適用されたために、却って税負担が増えるという例外もあります。ここでは、そのようなケースにつきお話したいと思います。

1 免税項目に対応する仕入増値税は控除することができません。免税項目とそうでない項目の仕入増値税を明確に分けることができない場合、すべての仕入増値税を、免税項目の売上が全売上に占める割合をもって計算することになります。

免税項目の仕入増値税を売上増値税から控除できないということは、「鉄道運輸及び郵政事業を営業税から増値税への移行試行に組み入れることについての、財政部・国家税務総局の通知」(財税〔2013〕106号、以下、「106号文書」という)の第24条に次のように規定されています。

下記項目の仕入増値税額は、売上増値税額から控除することができない。

(1)簡易課税方式を用いて税額を計算した項目、非増値税課税項目、増値税免税項目、集団福利又は個人の消費に用いた購入物品、加工修理部品取替の役務もしくは課税サービスの受入。

納税者が増値税課税項目と免税項目を兼業している場合に、その仕入増値税を明確に分けられなければ、106号文書の第26条を参照することになります。

一般的な税額計算を適用される納税者が簡易課税方式で計算される項目、非増値税課税役務、増値税免除項目を兼業し、かつ控除不能の仕入増値税額を分けることができない場合、以下の計算式に照らして控除不能の仕入増値税額を計算する。

控除不能仕入増値税額=当期の分けることが不可能なすべての仕入増値税額×(当期の簡易課税方式で税額を計算した項目の売上高+非増値税課税役務売上高+増値税免税項目売上高)÷(当期の全部の物品売上額+当期の全部の役務売上額)

主管税務機関は、上記計算式に照らして年度の数値に基づき控除不能仕入増値税額に対する精算を行うことができる。
上記規定のとおり、当期に免税項目のため増値税が免除されれば(すなわち免税項目の売上増値税額が算出されなければ)それに対応する仕入増値税額は控除できず、その仕入増値税額は原価に加算しなければならなくなります。免税売上に対応する仕入増値税額を正確に分けることができなければ、免税売上が当期のすべての売上に占める割合で計算します。

そうであれば、当期の免税となった売上増値税額が、控除不能となった仕入増値税額より少なければ、納税者は免税売上を選んだために却って増値税の納付が増えてしまいます。

2 増値税免除と増値税不免除の税負担の分岐点

 それでは、どのようなときに免税選択が却って税負担を増大させてしまうのでしょうか。海外に技術サービスを提供するケースを例にとれば、次のようになるかと考えます。

中国国内の外資系製造企業A社は、ある新製品の研究開発活動を行っています。A社は、これに伴い新技術が形成された際には海外の親会社に当該技術の使用権を譲渡し、その対価を得る予定です。このA社のある月の増値税に係る状況は以下のようなものでした。

当期製品販売収入100万(税抜き)、売上増値税額17万
技術譲渡収入10.6万、当期仕入増値税額15万(すべて認証済み)
増値税の免税政策を適用しなかった場合、その増値税額は以下のとおりとなります。
当期納税額=売上増値税額-仕入増値税額=(17+10.6÷106%×6%)-15=17.6-15=2.6万
増値税免税政策を適用した場合、その増値税額は以下となります。
当期納税額=売上増値税額-仕入増値税額+原価に振り替える仕入増値税額=17-15+15×10.6÷(100+10.6)=17-15+1.44=3.44万

上記のとおり、当期の仕入増値税額が比較的大きいときには、免税政策を適用するほうが適用しないより多く税を支払うことになります。

計算すれば、当期の仕入増値税額=総收入×5.66%のときに、免税政策を適用してもしなくても税負担は同様のものとなります。よってこのときの仕入増値税金額が分岐点かと考えます。当期仕入増値税が分岐点を越えれば、免税政策が税負担の増大をもたらすというわけです。以下にちょっと数字を入れて試してみましょう。

当期仕入増値税額=総收入×5.66%=(10.6+100)×5.66%=6.26万のとき
・もし増値税免税政策を適用しなければ:
当期納税額=売上増値税額-仕入増値税額=(17+10.6÷106%×6%)-6.26=11.34万
・増値税免税政策の適用を受ければ
当期納税額=売上増値税額-仕入増値税額+仕入増値税の原価振替部分=17-6.26+6.26×10.6÷(100+10.6)=11.34万

このように、当期の仕入増値税額が総売上高×5.66%のときはどちらでも税負担は同様となります。

3 増値税免税政策の納税計画策定

それなら、分岐点を越えたら免税政策の適用はやめ、越えなければ適用してもらえばよいのではとお考えかもしれません。しかし、残念ながらそのように状況に応じて適用したりしなかったりすることはできません。106号文書の「別紙1 営業税から増値税へ移行の試行実施弁法」第44条には、「納税者が適用する課税役務に免税・減税が適用される場合、免税・減税を放棄することができ、本弁法の規定に基づき増値税を納付する。免税・減税を放棄した後36か月は再度免税・減税を申請することはできない」と規定されています。このように、状況に応じて免税としたりやめたりすることは認められていないのです。

では、納税計画策定の余地はないのでしょうか?実は考慮の余地はあるかと思われます。

上記のように正確に区分できない仕入増値税うを計算式で分けることは実際の状況には合致しておらず、控除不能仕入増値税額を真に反映しているとはいえません。また、ある月に円滑に仕入増値税専用発票の認証ができず、翌月に回ってしまったような場合、翌月の仕入増値税は大変大きくなります。このような月に免税売上があったりすると、控除不能とされる仕入増値税額は、現実とはまったく乖離したものとなってしまうわけです。

このことを考慮して、納税計画を策定するならば、免税売上が発生する月には、できるだけ仕入増値税の控除を少なくする(例えば、認証の時期をずらして、当期の控除対象仕入増値税額を減らすといったことです)、または控除可能な仕入増値税が多い期間には、できるかぎり免税売上を発生させない(売上時期をずらす)というような方法で、免税売上に対応する仕入増値税額を現実に即したものとするよう適切にコントロールするといったやり方が考えられます。

例をあげれば次のようになります。

ある企業は、以前に原材料を購入していましたが、サプライヤーはずっと増値税専用発票を発行しておらず、それが決算に至ってまとめて大量の発行を受けました。これらはまだ認証はしていません。ところが、この月には多くの増値税免税売上が発生することが確実となっています。この場合、大量の仕入増値税専用発票を認証してしむと、控除できる仕入増値税額が著しく不合理に不利なものとなります。よって、一部の増値税専用発票をそれ以後の増値税免税売上がないような月に控除すれば、控除不能の仕入増値税を適宜調整することが可能となるかと考えます。言い換えれば、この大量の仕入増値税発票をすぐに認証する必要があるのなら、状況がゆるす下で当月は暫時増値税免税収入を計上しないことで、同様の調整を行うことができます。

ただし、ご注意いただきたいことは、この調整はあくまでも合理的範囲で行う必要があるということです。106号文書中の控除不能増値税の計算式には、ひとこと注意書きが加えられています。「主管税務機関は、上記計算式に照らして年度数値に基づき、控除不能の仕入増値税額に対し精算を行うことができる」と書いてあることです。
これは、納税者が月ごとに計算する免税売上のために控除不能となった仕入増値税は、年度数値に照らして計算した仕入増値税の原価振替額を下回ってはならず、主管税務部門は、年度の数値に照らして調整できると述べているものと理解されます。

上記の策定がめざすものは、あくまでも、免税のために税負担が増えることを防止するのであって、人為的に納税額を減らすことではありません。

 中国にある外資の子会社が、親会社の研究開発機能を担うことは今後増えてくるかと考えます。研究開発の原価は人件費部分が大きく、人件費は増値税とは関係がないため、研究開発にかかる仕入増値税は物品売買にくらべ割合が小さいのが通常かと思います。増値税免税売上が増えたことが、その他の生産経営活動から生じた控除可能仕入増値税を侵食することにならないよう、研究開発については別会社を設立することも考えられるかと思います。この場合、製造を行う子会社の設備や原材料を研究開発に利用できれば、増値税の税負担は大きく軽減されるかと考えます。

コンタクト

ニュース

  • News letter No.029 - 2016年4月20日
    4月12日に発表された『国家税務総局が営業税に代えて徴収する増値税は地方税務局に代理徴収を委託することと増値税発票の代理発行』(税総函[2016]145号)に次のような規定が見られます。
  • news letter028 - 2016年4月19日
    『営業税から増値税への移行試験を全面的に実施することに関する通達』(財税「2016」36号)の規定に基づき、2016年5月1日から全面的に、営業税に代えて増値税を徴収することとなりました。
  • News letter No.027 - 2015年3月26日
    目次 小型薄利企業の企業所得税優遇政策についての財政部・国家税務総局の通知 外国籍個人の個人所得税に係る時間に ...
  • News letter No.026 - 2015年2月6日
    目次 貿易企業の委託加工輸出業務に係る4方式の比較 国内外関係企業間借入に関する税務規定 [me ...