Archive for 6月 2013

News letter No.013

本ニュースレターに記載の情報はあくまでも一般的参考に供するものであり、読者の皆様に対し、いかなるアドバイスをも提供するものでもありません。なお、記載の内容について、何か問題がございましたら、誠にお手数とは存じますが、当社までご連絡いただければ誠に幸いに存じます。

(税務ニュース)

個人投資家が持分買収後、利益を資本金に組み入れた場合の個人所得税問題についての、国家税務総局の公告

国家税务总局公告2013年第23号
  
国家税務総局は、5月7日に2013年第23号公告において、「中華人民共和国個人所得税法」及び関連規定に基づき、個人投資家が企業の持分を買収した後、企業に蓄積された利益を資本金に組み入れた場合の個人所得税に関する問題につき、以下のように規定しています。

1 一人又は複数の個人投資家が持分買収方式をもって企業の100パーセントの持分を取得し、持分取得前には、被買収企業の帳簿上にあった「資本剰余金、利益剰余金、未処分利益」等の利益の累積は資本金に組み入れられておらず、持分譲渡取引時にはこれらは合わせて譲渡価格に加えた上で所得税の納税義務を履行している。持分買収後、企業の帳簿上にあった利益の累積をもって個人投資家(以下、「新株主」という)に対し株式を新たに発行した場合、これに関わる個人所得税問題は、以下のように状況ごとに分けて処理する。

(1)新株主が純資産価格を下回らない価格で持分を買収した場合、企業にあった利益の累積はすでにすべて持分取引価格に入れられており、新株主が取得した利益累積の資本金組み入れ部分につき、個人所得税は徴収されない。

(2)新株主が純資産を下回る価格で持分を取得した場合、企業にあった利益累積中の、持分買収価格から従来の資本金を引いた差額部分に対してはすでに持分取引価格に入れられており、新株主が取得した利益累積の資本金組み入れた部分につき個人所得税は徴収されない。持分買収価格がもとの株主資本より低い場合の差額部分は、持分取引価格に入れられていないため、新株主が取得した利益累積の資本金組み入れ部分については、「利息、株式利息、配当金所得」の項目に照らして、個人所得税を徴収する。

新株主が純資産を下回る価格で持分を買収した後に増加した資本金は、下記の順序に従って処理する。即ち、まず課税すべき部分の利益蓄積を資本金に組み入れ、その上で、免税となる部分の利益累積を資本金に組み入れる。

2 新株主が保有する持分を譲渡する際には、その財産の取得価格をその持分買収に実際に支払った対価及び関連税金とする。

3 企業に持分取引及び資本金組み入れ等の事項が生じた場合、翌月15日までに、株主及びその持分の変化状況、持分取引前の帳簿に記載された利益累積額、資本金組み入れ額及び税金控除金額の状況を主管税務機関に報告しなければならない。

4 本公告は公布の30日後より実施される。これ以前に未処理の税務関連事項は、本公告に基づき実施される。

(税務知識)

すでに計上し未支給の給与・賞与の損金処理問題

国税函【2009】3号文件によれば、損金として処理できる給与とは、「合理的な給与」であり、それは以下の原則に合致していなければならないとされています。

(1)企業が規範的な従業員賃金給与制度を制定している。
(2)企業が制定した賃金給与制度は業界及び地域の基準に合致している。
(3)企業が一定の時期に支給した賃金給与は相対的に固定したものであり、賃金給与の調整は手順に沿って行われている。
(4)企業は、実際に支給した賃金給与に対し、法に基づき個人所得税の源泉徴収義務を履行している。
(5)賃金給与に関する処理は、過少納税又は脱税を目的としたものではない。

そのうち、第(4)項では、「実際に支給」ということが強調されています。よって、企業が納税年度に計上したが支給していない賃金給与は、納税年度の損金とすることができず、納税申告の際に損金を減少する調を整した上で、実際に支給した年度に再度調整することになります。

一方、「2009年度企業所得税の年度末確定申告を円滑に行なうための、青島市国家税務局の通知」(青国税発〔2010〕9号)では、「『企業所得税法実施条例』第34条は、企業の給与、賃金を費用とする時間は実際に支給した納税年度とすると規定している。よって、企業が従業員の給与を計上し、同年に実際に支給していない場合、企業所得税上損金にはできないが、以後の実際に支給した年の申告で調製して控除することができる。企業がその年に計上した給与を、企業所得税の年度納税申告より前(翌年5月31日より前)に実際に支給した場合、計上年度の費用として控除することができる」と規定しています。

このように、青島市の企業は上記文書に基づき、納税年度に計上した賃金給与を、その年の企業所得税の納税申告より前に実際に支給していれば、計上した年の損金として処理することができます。

例えば、青島市のある企業が2012年末に未払給与100万元を計上し、2013年2月に実際に支給したとすれば、青島市の文書規定に基づき2012年の企業所得税申告時には損金とすることができ、納税調整は不要となるということです。

上記は、青島市の税務機関が、新企業所得税法上の「発生主義」の精神、即ち「企業所得税法」第9条にある、「企業が課税所得を計算する際には、発生主義を原則とし、当期の収入及び費用は、その入金・支払にかかわらず、すべて当期の収入及び費用とする。当期の収入及び費用に該当しないものについては、その金額の入金・支払にかかわらず、すべて当期の収入及び費用とはしない。本条例と国務院の財政・税務主管部門に別途の規定があるものはこの限りではない」という精神に対し、良好な解釈を加えたものと当職らは考えています。

増値税と企業所得税の免税項目について

 
中国の現行の増値税と企業所得税の関連文書に基づけば、一部の項目は増値税又は企業所得税が免除されますが、免税項目については、税法はともに独立して集計することを求めています。文書の規定は以下のとおりです。

「企業所得税法実施条例」の規定
企業が同時に企業所得税の扱いの異なる項目に従事する場合、その優遇項目については単独で所得を計算しなければならず、併せて合理的に企業の企業の期間費用を分担させる。独立して計算されていないものについては、企業所得税の優遇は受けられない。      
「増値税暫定条例」の規定
納税者が免税・減税項目を合わせて経営している場合、免税・減税項目の販売額は独立して集計しなければならず、分けて集計されていないときには、免税・減税の待遇は受けられない。

例えば、「企業所得税法実施条例」の規定によれば、灌漑、農産物一次加工、獣医、農業技術推進、農機作業及びメンテナンス等の農業、林業、牧畜業、漁業の役務提供項目の所得については、企業所得税を免除するとされています。

企業が、農業用資材を販売すると同時に、技術サポートを提供する場合、農業用資材の販売が免税項目でなく、農業技術のサポートが免税条件に合致していると仮定して、企業がこれらに関わる売上を分けずに集計していたなら、免税であるべき売上についても優遇政策は受けられないことになります。同時に共通の期間費用についても、合理的に按分する必要があります。

増値税についていえば、「農業生産資材の増値税課税免税政策についての、財政部・国家税務総局の通知」(財税〔2001〕113号)では、種子、苗、化学肥料、農薬、農機の卸・小売は増値税への移行を免除すると規定されています。
企業が化学肥料の卸売りを行なうと同時に、その他の農業用資材を販売した場合、それぞれの売上高は分けて集計しなければならず、そうされていなければ免税とはされません。同時に共通して発生した仕入に係る増値税については、課税と免税に分けて、免税売上に関する仕入増値税は戻し入れをしなければならないことになります。

さらに言えば、企業所得税と増値税とは税法上独立したものですが、実際の業務では併せて発生します。あるものは、増値税は免除されるが、企業所得税は免除ではありません。化学肥料がこれに該当します。またあるものは企業所得税は免税ですが、増値税は課税となっています。例えば農業技術推進業務は企業所得税が免除されますが、増値税についてはそういいきれません。(農業技術推進業務は営業税から増値税への移行前には、営業税が免除されていました。ただし、増値税への移行後、増値税が免除されるかどうかは、明確ではありません)。よって、企業は税務上の要求に基づき、集計に注意をはらうと同時に、契約の締結時には、後で税務上の不利を発見することのないよう、税務上の扱いも考慮に入れられるようお勧めいたします。

(営業税から増値税への移行)

増値税への移行後の混合販売の処理

例えば、ある企業は物品を販売すると同時に、相手に対し技術サポートを提供しており、この技術サポートは営業税の増値税への移行の範囲とします。また、物品の売上高は1,000万人民元、技術指導料は100万元(いずれも税込)と仮定します。

(1)営業税の増値税への移行前の処理は以下でした。
この行為は、増値税条例の中の「混合販売」の概念に適合するもので、貨物の生産、卸売又は小売に主に従事する納税者に属し、増値税を納税する。その他の納税者は増値税を納税します。

よって、営業税の増値税への移行以前は、当該企業は増値税の売上増値税額=(1000+100)÷1.17×17%=159.83となります。
(2)移行後の処理は以下のようになります。
この技術サポートは増値税を納付することになり、税率は6パーセントです。「上海市の交通運輸業および一部の現代的サービス業の営業税から増値税への移行試行展開についての、財政部・国家税務総局の通知」(財税〔2011〕111号)では、「混合業務経営」を以下のように規定しています。

混合業務経営:
試行地の納税者が、異なる税率又は課税率で、物品の販売と加工修理補修の業務又は課税業務の提供を兼業している場合、異なる税率又は徴収率に基づき、それぞれ分けて売上高を集計しなければならず、分けられていないものについては、高い税率又は徴収率を適用する。

よって企業は、上記の異なる税率又は徴税率の業務については、それぞれの売上高を分けて集計する必要があります。上記の例であれば、売上増値税額の計算は、

1,000÷1.17×17%+100÷1.06×6%=145.30+5.66=150.96ということになります。
異なる税率又は徴税率の売上高が分けることができないようならば、17パーセントの税率で売上増値税を計算しなければならないことになります。

営業税の増値税への移行後、兼業項目はどのように納税するか

営業税の増値税への移行後、もともと営業税を納付していた納税者の一部は増値税を納付することになりますが、同時に増値税への移行の範囲に含まれないものが業務にあれば、これら業務については引き続き営業税を納付することになります。このような状況は、どのように仕入増値税を控除すればよいのでしょうか?

規定に基づけば、増値税課税項目でないものに対応する仕入増値税は、売上増値税からの控除に用いてはならないとされています。ところが、中には仕入増値税発生時に増値税項目と非増値税項目に分けることができないものもあるかと思われます。

このため、「交通運輸業および一部の現代的サービス業の営業税から増値税への移行の試行税務政策を全国で展開することについての、財政部・国家税務総局の通知」(財税〔2013〕37号)の第26条には、次のような規定がみられます。

一般的な税の計算方法が適用される納税者が、簡易方式の税計算が適用される項目、非増値税課税役務、増値税免除項目を兼業し、控除する仕入増値税を分けることができない場合、以下の計算式に照らして仕入増値税を計算する。

控除できない仕入増値税額=当期に区分できないすべての仕入増値税額×(当期の簡易税計算方法で税額を計算した項目の売上高+非増値税課税役務営業額+課税免除増値税項目の売上高)÷(当期のすべての物品売上高+当期のすべての営業額)

同時に、計算の正確性及び合理性を保証し、納税者の人為的操作を避けるため、文書ではさらに、主管税務機関は、上記の計算式に照らして、年度のデータに基づき、控除できない仕入増値税に対する精算を行なうことができる旨規定されています。

(会計知識)

繰延税金の処理について

新会計準則に基づき処理する企業が、企業所得税上資産・負債アプローチを採用した際には、繰延税金資産(又は繰延税金負債)の計算に直面することになると思われます。この概念は抽象的であるため、ここで例をあげてその応用につき説明したいと思います。

ある企業では、2010年に従業員教育経費30万元が発生しました。この企業の賃金給与総金額は1,000万元です。この場合、損金として控除できる従業員教育経費は1,000万元×2.5%=25万元となり、5万元については企業所得税上損金に算入しない調整を行なわなければなりません。「企業所得税法」の規定に基づけば、「企業で発生した従業員教育経費の支出は、賃金給与総額の2.5パーセントを超えてはならず、超えた部分については、以後の納税年度において差し引くことができる」とされています。よって、以後の年度の従業員教育経費の発生が税法の定める上限よりも低ければ、企業所得税上、その年度で税金を減額調整することができます。

上記の例で、この企業は2011年に発生した従業員教育経費が22万元、賃金給与総額が1,000万元であれば、損金とできる従業員教育経費は1,000万×2.5%=25万であり、差額の3万元は前の年度に損金とできなかったものを補うのに使用することができます。

2010年の残りの2万元はさらに次の年度を待って控除することになります。納税調整をした後この企業に納税の必要がある場合、仕訳は次のようになります。

2010年:
借:繰延税金資産1.25(5×25%)
貸:企業所得税1.25

2011年:
借:企業所得税0.75(3×25%)
貸:繰延税金資産0.75(3×25%)

ここでご注意いただきたいことは、以上の仕訳処理は、2011年度に企業所得税納付の必要が生じることが前提だということです。2011年度に納税すべき企業所得税があってはじめてその納税額を減少させることができ、これにより企業の経済的利益の流出を減少させることができるため、資産としての定義に合致するわけです。

繰延税金資産を計上する際には、保守主義の原則を適用しなければならず、確実な将来の納税根拠がないままに計上することはできないとされています。そうでなければ、企業に正確でない資産及び利益が計上される可能性があるからです。上記の例でいえば、企業が市場の状況及び予測状況に基づき、2010年より後の数年は欠損の状態にあって企業所得税を納める可能性がないと考えるならば、繰延税金資産の計上には慎重に対処する必要があるかと思われます。

コンタクト

ニュース

  • News letter No.029 - 2016年4月20日
    4月12日に発表された『国家税務総局が営業税に代えて徴収する増値税は地方税務局に代理徴収を委託することと増値税発票の代理発行』(税総函[2016]145号)に次のような規定が見られます。
  • news letter028 - 2016年4月19日
    『営業税から増値税への移行試験を全面的に実施することに関する通達』(財税「2016」36号)の規定に基づき、2016年5月1日から全面的に、営業税に代えて増値税を徴収することとなりました。
  • News letter No.027 - 2015年3月26日
    目次 小型薄利企業の企業所得税優遇政策についての財政部・国家税務総局の通知 外国籍個人の個人所得税に係る時間に ...
  • News letter No.026 - 2015年2月6日
    目次 貿易企業の委託加工輸出業務に係る4方式の比較 国内外関係企業間借入に関する税務規定 [me ...